貧血 ワインの飲みすぎが引き起こす健康への副作用

 ワインに含まれるポリフェノールは一般的には健康成分とされていますが、体質や持病によっては避けたほうがいいケースもあります。
ワインに含まれるポリフェノールのうち、主なもののひとつであるタンニンは、鉄分と結合しやすい性質を持っており、体内への鉄分の吸収を阻害してしまいます。
一般的な分量を健康な人が飲むくらいならそれほど問題はありませんが、もともと貧血気味の人や鉄分を吸収しにくい体質の人がタンニンを摂りすぎると、貧血が悪化する恐れがあります。
手術直後などで鉄分の損失量や必要量が増加している、ダイエット中で鉄分の摂取が十分でない、高齢や消化器官の異常で通常よりも吸収力が落ちているなどの条件に該当する場合も注意が必要です。

 タンニンはワインの渋味を担う成分で、果皮や種子由来のものと熟成時の樽由来のものがあります。
そのため赤ワイン、特に固形部分との接触期間が長いものや樽での熟成期間が長いものほど、基本的にタンニン量が多くなっています。
また、長期間熟成するタイプのワインをあまり若いうちに飲むと、熟成によって澱となって沈殿するはずの過剰なタンニンも摂取することになってしまいます。
貧血が気になる方は、赤ワインよりは白ワイン、渋味のしっかりしたものより早飲み系のライトなタイプのワインを選ぶか、瓶熟成の期間をしっかりと経た高品質なワインを少しだけ飲むようにしたほうが良いでしょう。

 ワインを飲む際に一緒に食べる食材も、組み合わせによっては鉄分の吸収量を左右します。
鉄が多く含まれているとされるもののなかでも、ホウレンソウや小松菜、海藻類など植物系の食材には吸収されにくい「非ヘム鉄」が含まれています。
もともと吸収しにくい鉄と吸収を妨げるタンニンを一緒に摂れば、当然さらに吸収量は落ちてしまいます。
選択できるのであればレバーや赤身の肉類、青魚などの吸収しやすい「ヘム鉄」を多く含む食材を選びましょう。
また、タンニン以外にも食物繊維が豊富すぎる食材も鉄の吸収を妨げます。
逆に、ビタミンCやたんぱく質は鉄の吸収を助け、ビタミンB6やビタミンB12は造血を促進してくれますので、積極的に摂っていきましょう。

 鉄分の欠乏は倦怠感やめまい、肩こりやちょっとしたことでどっと疲れるなどの症状を引き起こし、欝の原因となることもあります。
せっかくおいしいワインを飲んでいるのに気分が落ち込んでしまうなんてことのないよう、十分注意しながら楽しみましょう。