コルク抜きの種類と役割 基本の使い方と失敗しないためのコツ

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 最近はスクリューキャップのボトルが増えてきたとはいえ、ワインの栓といえばまだまだコルク栓が主流です。
これを抜くための道具であるコルク抜きも、(自分で使ったことがあるかは別として)見たこともない、知らないという人はほとんどいないのではないでしょうか。
でも、コルクにねじ状の金具をねじ込んで引き抜くといういたってシンプルな構造である反面、どうしても力やコツが必要な道具でもあります。
中には、コルクを上手に抜くことが苦手で、それがそのままワインへの苦手意識になってしまうなんてケースも。
せっかくのワインをコルク抜きのせいで楽しめない、なんてことがないように、基本的な使い方やコツ、そして初心者でも使いやすい形状の製品についてご紹介します。

基本的な使い方

 コルク抜きは、コルクにねじ込むためのねじ状の金属部分と、それをつかんで引き抜くためのハンドル部分で構成されています。
一番シンプルなT型のコルク抜きの場合、引っ張る方向を固定したり引く力を補助する機構がないため、コルクが折れてしまったり勢いあまってワインをこぼしたりしがちです。
 そうならないための基本的な使い方をみてみましょう。

  1. ワインボトルのキャップシールを、ソムリエナイフなどを使用して切り取る
  2. コルクの真ん中に金具の先端をしっかりと刺す
  3. コルク抜きをまっすぐ立ててゆっくりねじ込んでいく
  4. 一番奥まで差し込んだらハンドルを利き手で握り、反対側の手でボトルをしっかりと固定する
  5. ボトルの方の手は固定したまま、利き手だけを引くようにして力をこめる
  6. コルクが抜けてきたら一度長さを確認し、すっぽ抜けないように慎重にまっすぐ引き上げていく
  7. 抜ける直前でコルク抜きから手を離し、コルク自体を握ってゆっくりと引き抜く

 コルクに金具部分の先端を刺すときは、ハンドルではなく金具を持ってしっかりと真ん中に突き刺しましょう。
これが中心からずれてしまっていると、コルク抜き全体がずれてしまい、同じ力をかけていても抜けにくくなったりコルクが破損する原因になります。
真ん中に刺すことができたらハンドルを持ってねじ込んでいきますが、この時にわずかでもコルク抜きが寝ているとやはり斜めに刺さってしまいます。
ねじ込む際にはそんなに大きな力は要りませんので、ボトルをテーブルにまっすぐ立てて首元を握り、コルク抜きの状態を良く見ながらゆっくりとねじりましょう。
特に一番最初が肝心です!
ねじ込む深さはコルクの長さと同じくらい。
理想は、コルクの反対側からほんの少し金具の先端がのぞく程度です。
そのくらいでぴたっと止められればコルクのくずがワインに落ちるのを避けることができるからですが、難しいようであればハンドルの根元までねじ込んでしまってかまいません。
まずいのはコルクの途中までしか金具が届いていない状態で引っ張ってしまうこと。
金具が入っていないところからコルクが折れて、引き抜けなくなる原因になります。
うまくねじ込めたら、ボトルを利き手と反対側の手で持ってしっかり固定します。
首の先端に近い部分を握って脇を締め、ボトルのお尻をタオルを敷いたテーブルなどに置いて斜めにするとぶれなくなります。
公の場でなければ太ももではさむのも悪くはありませんが、引き抜くほうの手が無理な体勢になってしまう可能性も。
ボトルを入れて斜めに固定できるパニエなどがあれば一番簡単ですが、ボトルのサイズによってはA4の書類ケースで代用できる場合もあります。
間違っても、ボトルが宙に浮いた状態で引き抜こうとしないでください。
コルクが抜けた反動でボトルが動き、中身がこぼれたり最悪の場合はどこかにぶつけて瓶が破損する恐れもあります。
コルクを引き抜くときは、ボトルの方は極力動かさずハンドルを握るほうの手だけに力をこめます。
こちらも脇を締めて慎重に引き、コルクが少し動いた時点で残りの長さを確認したほうが良いでしょう。
コルクが抜けるまで引っ張ってしまうとどうしてもこぼれやすくなるため、最後の1cmくらいがまだ残っている状態で止めるのがベストです。
焦らずゆっくりと、少しずつ引き抜きましょう。
金具がコルク全体に埋まるまで入っていればそうそう折れたりはしませんが、それでもハンドルを左右に揺らしたりぐるぐると回転させるのはやめておいたほうが無難です。
あくまでまっすぐ力をこめれば、瓶に張り付いてしまっているようなものや劣化して崩れやすくなっているものでなければ、素直に抜けてきてくれるはずです。
あと少しというところまで抜けてきたらコルク本体を握って、軽く回すようにしながら引き抜きます。
力がかかりすぎてコルクが破損したり、ワインがこぼれるのを防ぐためです。
音もさせずにぽろっという感じで抜けたらベスト。
ボトルをまっすぐ戻してテーブルに立て、コルク抜きをゆっくり逆向きに回してコルクからはずして終了です。

いろいろな種類のコルク抜き

 シンプルな形のコルク抜きでも、何度か練習すれば意外と簡単に扱えるようになります。
でも、そんなに時間や労力をかけられないという方や、練習しても力が足りなくてうまく抜けない、という方もいらっしゃるかもしれません。
普通のコルクならともかく、合成コルクや人工コルク、劣化コルクなどはコツを知っていても抜くのが難しいこともあります。
そんな時は、もっと簡単で扱いやすいコルク抜きを使用してみましょう。

ソムリエナイフ

 コルク抜きのほかに、キャップを切るためのナイフや補助の金具がついている、ワインを開けるための必須アイテムです。
ねじ状の金具やナイフは本体の中に折りたたんで収納できるようになっているため、持ち運びにも便利です。
2段階のてこがついているものは、金具をコルクにねじ込んだあと、より少ない力でコルクを引き上げることができるため、握力や腕力に自信がない方やどうしてもハンドルをまっすぐ引けないという方におすすめです。
プロ使用のものは価格もそれなりに高くなりますが、各部品の精度が良いので格段に使いやすいものが多くなります。
ワインを日常的に飲むようになったら、購入を検討してみても良いかもしれません。

テコ式

 ねじ状の金具部分が、左右についているテコで動くタイプです。
フレームの下部をボトルの口にセットしてハンドルを回すと、金具がコルクに埋まっていくにつれてテコの部分がばんざいをするようにあがっていきます。
金具がコルクの先まで埋まったら、ボトルをまっすぐ立てて置いて両手でテコを引き下げることでコルクを引き抜きます。
フレームをしっかりおさえて作業すれば、金具がまがって入ってしまう恐れがなく、全ての工程で「引く」という動作がないため、力が弱い方でも比較的簡単に扱うことができます。
プラスチックなどでできているものよりは、全体が金属でできたしっかりとした作りのもののほうが安定して使用できます。
ただし、長期熟成を行う高級ワインのようなロングタイプのコルクを使用しているワインの場合、通常の使い方では金具の長さが足りなくなる可能性があります。
その場合は、半分くらいまで引き抜いたあと、改めてハンドルを回してコルクの端までしっかりねじ込みましょう。

スクリュー式

 テコ式と形が似ていますが、こちらは左右のテコがありません。
フレームをボトルの口にセットしてしっかりと固定したら、あとは上部のハンドルをゆっくり回すだけ。
ねじこんで引っ張りあげるのではなく、固定したねじを回すことでコルクがあがってくるという仕組みです。
少し時間がかかりますが、ねじがまっすぐになるように本体を立てるということ以外コツもいらないため、初心者でも簡単に扱えます。
製品によっては、コルクの上部を破損させやすく、ワインにコルクくずが落ちてしまうものもありますので、レビューなどをチェックしてから選ぶと良いでしょう。

挟み式

 通常のT型のようなハンドルに、ねじ状の金具ではなく2本の細く平たい金属の棒がついています。
この棒をコルクをはさむように差し込んで固定し、慎重に引き上げることで抜き取ります。
差し込み方や引っ張るときの力の入れ方にコツがいるため上級者向きの道具ですが、スクリューだと崩れてしまうようなもろくなったコルクにも使用できるため、オールドヴィンテージの貴重なワインを開ける機会があるなら、ぜひ練習しておきたいところ。
最初はスクールなどで使い方を実演してもらうか、動画を検索することをお勧めします。

電動式

 一連の作業を、全て自動でやってくれるタイプです。
人がしなければいけないのは、ボトルの口にまっすぐセットしてボタンを押すことだけ。
あとは内部で自動的に金具がねじ込まれ、電動でコルクを引き抜いてくれます。
最近は小型化が進み価格もかなり抑えられた製品が出ているので、ホームパーティ用に一台購入しておくのはいかがでしょうか。
ただ、もろくなったコルクに使用すると手動のものよりも破損の危険性が高くなってしまうのと、持ち運びには不向きな点はデメリットといえるかもしれません。