ワインに合うナッツの種類と特徴 ワインに合わせるおつまみ

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 おつまみとしてどんなお酒にも合わせることができる万能選手、ナッツ類。
ビールや日本酒、蒸留酒、さらにはカクテルなどでも問題なく合わせられますが、意外とナッツ単体でワインと合わせるレシピはそう多くないようです。
確かに、ぱりっと乾燥して甘みがなく、強い塩味がついているものが多いナッツ類は、赤ワインや白ワインといった一般的なワインと相性抜群とは言い切れません。
しかし、熟成を経て香りの変化したワインや濃厚なタイプ、そして香りの中にナッツ系のものを持つワインなど、例外的に相性の良いものもあります。
ナッツの種類や特徴と、それに合わせやすいワインについていくつか見てみましょう。

アーモンド

 バラ科サクラ属の杏や桃に近い植物で、ナッツと呼ばれているのは、種の中身(仁/じん)です。
種の殻を付けたままドライローストするか、殻を剥いてロースト、もしくは油で揚げたものを食用とします。
カリカリとした歯ごたえを楽しめる、潰れずに細かく砕けるくらいの固さが特徴で、よく噛むと香ばしさの中にやさしい甘さを感じることができます。
ワインの香りとしては、主にマロラクティック発酵を施した白ワイン、特にシャルドネを使用したものによく表れます。
熟成期間によって、フレッシュアーモンド風の香りから徐々にローストアーモンドの香りへと変化するため、ナッツの状態のアーモンドには長期間寝かせたものの方が比較的相性が良いといえます。
ワインに合わせる場合は、塩味をつけていない無塩タイプのものを選ぶと良いでしょう。
有塩タイプしかなかったら、合わせるワインをやや辛口のスパークリングにするとバランスが取れます。
種の殻がついているほうが高級な感じがしますが、歯ごたえが多少変わるくらいであまり違いがなく、好みで選んでも良さそうです。

ヘーゼルナッツ

 カバノキ科ハシバミ属の樹、特にセイヨウハシバミの実です。
どんぐりを丸くしたような形状で、炒って殻を剥いて食用にします。
独特の香りを持ち、チョコレートと混ぜたり(ジャンドゥーヤ)砕いてカラメル状にして菓子に利用したり(プラリネ)、コーヒーやリキュールの風味付けに使用されたりと、様々な方法で活用されています。
これもアーモンドと同じようにシャルドネをメインとした白ワインの香りとして表れることが多く、特に寒冷地方よりも温暖地方の、もともと酸味が穏やかで柑橘よりも南国フルーツの香りを持つようなタイプを、樽かもしくは瓶内で長期熟成させた場合に良く見られます。
白ワイン以外では、甘口のフォーティファイドワインやスパークリングワインにも合わせられます。
樽由来の、甘く香る焦げたようなスモーク香の強いタイプと相性が良いようです。

くるみ

 クルミ科クルミ属の樹のうち、一部の食用に適した品種の種の中身(仁)です。
ヒメグルミ、オニグルミ、カシグルミなどが主な品種です。
非常に古くから利用されてきた木の実であり、ごつごつした丈夫な種を割るための専用の器具(くるみ割り)が存在します。
しゃりしゃりとした歯ごたえはありますが基本的に柔らかく、良く噛むと豊富な油分とそれに由来する深いコクを楽しむことができます。
フランス南部で造られる白ワインや一部のフォーティファイドワインに香りが表れますが、もともと特に強い香りを持っているわけではなく、薄皮には適度な渋みもあるため、苦味やボディのしっかりした赤ワインにも合わせられます。

カシューナッツ

 ウルシ科カシューナットノキ属の果実から取れる種の中身(仁)です。
種が果実の外側にできる非常に珍しい形状をしており、はじめて見た方は「そこに種ができるの?」と驚くこと間違いなしです。
熟して自然に落ちたものを、天日干し、ロースト、脱殻などの工程を経て食用にします。
さくさくした歯ごたえと、バターのように濃厚な味わいを持っており、菓子に利用したりそのままおつまみにするほか、肉や野菜と共に料理に使用されることもあります。
香りとしては、樽熟成やマロラクティック発酵を経たコクありの白ワインに表れることが多いのですが、強い風味とコクを受け止められるしっかりしたタイプであれば、大体どんなワインにも合わせられるようです。

ピスタチオ

 ウルシ科カイノキ属の樹の種の中身(仁)です。
一般的に種の殻が付いた状態で流通し、自分で殻を割って食べます。
仁はきれいなエメラルドグリーンをしており、独特の風味を持つことから様々な料理や製菓材料としても利用されています。
塩味の付いているものは辛口のスパークリング、無塩のものはコクありの白ワインかタンニンの豊富な赤ワイン、甘さ控えめの果汁濃縮系ワインなどと合わせると良いでしょう。

 ナッツ類はそのままはもちろん、砕いたりすりつぶして他の料理の風味付けに利用することで、ワインとの相性をさらに高めることもできます。
甘さ控えめのパウンド系のケーキやクッキー、ヨーグルトに混ぜてワインとのマリアージュを試してみてください。
また、チーズと組み合わせるのもおすすめです。
ナッツに含まれる成分には、血圧や悪玉コレステロール値を下げ心血管系疾患のリスクを減少させる効果があるともされており、アルコールの持つリスクを軽減するおつまみとしても優秀です。
ただし、当然食べすぎは逆効果になります。
ナッツはもうやめようと思いつつもついつい手が出てしまうものですが、ワインと同じように適量を心がけたほうが良いでしょう。