ザクセン ドイツのワイン産地4

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位置

 ドイツ全体の東端、エルベ川の右岸に広がるアンバウゲビート(Anbaugebiete)です。
ドイツのワイン主要なワイン生産地の中でももっとも東側にあり、旧東ドイツに属していた2つの産地のうちのひとつでもあります。
北緯は51度で、現在のブドウ栽培が可能な地域の北限付近に位置します。

テロワール

 夏冬の気温差が大きい大陸性気候帯に属しますが、周辺の山々がその影響をやわらげてくれるため、比較的穏やかな気候を有します。
とはいえ、春秋の霜害は他の地域よりも厳しく、栽培可能地域を狭めているうえヴィンテージによっては収穫量も減少させます。
降水量は南西の生産地帯よりも多く、高緯度地域なので日照時間も1600時間と十分。
エルベ川からもたらされる照り返しや朝霧などの恵みを受けられる南向きの斜面がブドウ畑となっています。
土壌の種類は豊富でかなり複雑に入り組んでいますが、基本的には花崗岩や斑岩が黄土などの砂礫、堆積土壌の間に多く見られる地質となっています。

ワイン造り

 ドイツの13あるアンバウゲビートの中で、最も生産量の少ない地域です。
栽培面積は492ヘクタール(約4.9平方キロメートル)、ワイン生産量は約0.2万キロリットルほどしかありません。
ベライヒ(Bereich)は2つで、グロースラーゲ(Groslage)は4、アインツェルラーゲ(Einzellage)はわずか17でドイツ内最少となっています。
主なブドウ品種は、白ブドウはミュラー・トゥルガウ(Muller Thurgau)、黒ブドウはシュペートブルグンダー(Spätburgunder、=ピノ・ノワール)。
そのほか、リースリング(Riesling)、ヴァイスブルグンダー(Weißburgunder=ピノ・ブラン)なども栽培されています。
秋が早いため熟成の早い品種が好まれ、ドイツ全体と同じように白ワインが優勢です。
赤ワイン:白ワインの比率は、約19:81となっています。
ザクセン独自のブドウ品種として、リースリングとクルティリエ(Courtillier)の交配品種であるゴールドリースリング(Gelbriesling、ゴルトリースリングと呼ばれることも)があります。
全体的に酸のマイルドな、すっきりとした味わいのワインが多いのですが、生産量自体がドイツ全体の1%程度にしかならないため、国外で見つけるのは至難の業です。

ベライヒ(Bereich)

マイセン(Meissen)

 ザクセンの中心的な都市、ドレスデン(Dresden)のエルベ川をはさんで対岸に位置するベライヒです。
花崗岩や斑岩などが黄土など堆積土壌の中に織り込まれたような地質を持ち、畑ごとに大きく異なるテロワールを持つ地区となっています。
現在、ザクセンで生産されるワインのほとんどがマイセンの協同組合による醸造となっており、生産量はあまり多くはありません。

エルスタータール(Elstertal)

 ザクセンの北側に位置するベライヒです。
ブドウ栽培の北限に近く、生産量はほんのわずかです。