スパークリングワインのマリアージュ

目次

 スパークリングワインは、生産地や製法によって味わいが大きく変わります。
そのため「スパークリングだから」というよりは、それぞれの味の系統ごとに何とあわせるかを考えるべきだと言えるでしょう。

辛口

 シャンパーニュでいうと、「エキストラブリュット」や「ブリュット」レベルの辛口スパークリングは、どんな料理にも合わせやすいスパークリングの代表格です。
すっきりした酸味と炭酸の刺激が、多少の臭みや脂肪分も全て包み込んで流し去ってくれるため、白身のお刺身、オイルドレッシングを使用した魚介類のカクテル、生牡蠣、鶏肉や豚肉のソテー、クリーム系の煮込み料理など、幅広いマリアージュを楽しめます。
ただ、フレッシュな果物(特に柑橘系)やチョコレート、ケーキなどのデザート系は、酸味や渋みが際立ってしまう可能性があるので避けた方が良いかもしれません。

やや甘口

 ほんのり甘いスパークリングワインは、乾杯にもぴったりな「そのままでもおいしいお酒」。
合わせる料理は、ワインの味や香りを邪魔せず引き立ててくれるものを選びましょう。
モッツァレラやカッテージなどフレッシュ系のチーズに軽く塩コショウをしたもの、あっさりとした生ハム、ほんのり塩味でボイルした緑黄色野菜や甲殻類、クラッカーとあっさり系のディップなんかも良いかも。
酸味の利きすぎたマリネや脂っこいお肉、生臭さが残ってしまうタイプのものは、次の一口の口当たりを歪めてしまうのでNGです。

甘口

 ジュースのような甘さがうれしい甘口は、食後酒にもってこいのおいしさです。
そのままだとちょっと甘すぎる口当たりも、スパークリングなら抵抗なく楽しめるでしょう。
合わせたいのは、カマンベールやブリーなどちょっと癖のあるソフト系のチーズ、ベリー系のフルーツ、はちみつ、ババロアやムースなど脂肪分を含むプティング系デザート、生クリームを使用したケーキなど。
さらに、生ハムやブルーチーズなどとでも、意外なおいしさを発見できるかも。
苦手なのは、濃い味付けの肉料理やしょっぱいソースを使用した魚料理、パスタやサンドイッチなど炭水化物系の食事、香辛料多めのスープなど。
チョコレートや食後の葉巻を楽しみたい場合は、スパークリングではなく濃い赤ワインや蒸留酒を選んだ方が良いでしょう。

軽め

 一次発酵やアサンブラージュを樽ではなくタンクで行ったもの、マロラクティック発酵を行っていないもの、熟成期間の短いもの、そして炭酸ガス注入方式で造られた簡易なスパークリングなど。
軽い口当たりのスパークリングは、胃腸の働きを活発にし、口の中をさっぱりとさせ、気分を盛り上げてくれる、食前酒にぴったりのお酒です。
生の魚介類やシンプルな味付けの肉料理、フレッシュチーズ、クラッカーなど、食事の序盤を楽しく導いてくれるでしょう。
安価なものであれば、一時期アメリカやアジアの一部で流行したように、スナックなどと合わせてリラックスしたプライベートタイムに楽しむのもアリかも。
甘みや香りの強弱によって相性の良い食べ物が若干変化しますので、パーティなどで振舞うなら事前にチェックしておいた方が良いかもしれません。

コクあり

 有名産地のもの、樽での発酵や熟成を経ているもの、滓を含んだ状態での熟成期間が長いもの、シャンパーニュ方式(トラディッショナル方式)に則って造られたワイン法で規定された発泡性ワインなど。
香り豊かでコクのあるスパークリングは、相対的に高品質で高価なものが多く、食事をよりいっそう豊かなものにしてくれます。
軽くスモークしたサーモンやチキン、野菜や貝類のグリル、上質なバターを使用したクリームソース、しっかり熟成させたソフト系チーズなど、一口ごとに舌をリセットしてワインも食事もいっそう楽しめるような組み合わせが理想です。
良いワインに合わせるからといって、張り切りすぎて複雑な味付けの料理にしてしまうと、せっかくの繊細な泡を楽しめなくなる危険性がありますので、注意が必要です。