スペインの主要なブドウ品種 白ワイン用ブドウその4

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アイレン(Airén)

 スペインでもっともメジャーな白ワイン用ブドウ品種です。
スペインで栽培されているブドウ畑の30%以上を占め、かつては世界で一番作付け面積の広い品種でした。
近年のブドウ品種に対する注目の高まりや白ワインより赤ワインが求められる傾向により、他品種に植え替えられて栽培面積が減少しつつありますが、現在でも世界第3位の面積を誇ります。
病気や乾燥に非常に強く、他のブドウが育たないような土地でも栽培することが可能ですが、一本当たりの必要面積が大きいため、低密度に植える必要があります。
(そのため、作付け面積が広い、ともいえます) ワインになったときの品質は高いとは言えず、ほとんどはブレンド用かシェリーなどフォーティファイドワインに使用される高アルコールブランデー(というより、ブドウ由来の中性アルコール)の原料となります。

マカベオ(Macabeo)

 スペインで、アイレンに次いで2番目の栽培面積を持つ白ワイン用ブドウ品種です。
地域によってはビウラ、マカベウなどと呼ばれることもあります。
酸味が強く、花やハーブに例えられる華やかで軽い香りが特徴です。
早飲み用ワインではあまり特徴のない品種とされますが、白ワインにしては珍しいほどの長期熟成に耐える特性があり、オーク樽香との相性がよいことから数年~数十年に及ぶ小樽熟成を行うケースもあります。
また、主にカタルーニャ州で造られるカバ(スペインのトラディッショナル製法で造られるスパークリングワイン)の原料としても有名です。

パロミノ(Palomino)

 主にシェリーの原料となる白ワイン用ブドウ品種です。
果粒が小さく早熟な果実をつけますが、酸味や甘みが弱く酸化耐性も低いため、スティルワインの原料としてはあまり質が良くないとされます。
シェリー原料としては非常に優秀で、特に石灰質土壌をもつアンダルシア地方のヘレスからは、アーモンドのような独特の香りを持ったパロミノが生産されています。
スペイン以外では南アフリカでも栽培されています。

アルバリーニョ(Alvarinho)

 ガルシア地方原産の白ワイン用ブドウ品種です。
スペインの白ブドウのなかでも高級品種に数えられ、ブドウの価格も生産されるワインの格も高めです。
高温多湿の環境を好みますが、地表からの湿気の影響を避けるために棚仕立てにされるケースが多くなっています。
白ブドウにしては果皮が厚く、熟成度合いや圧搾の仕方によっては苦味を持つようになる事も。
若い頃はリンゴやシトラス系の香り、熟成が進むと南国フルーツ系やはちみつ、ハーブの香りが際立つようになり、バランスのよい旨みを持っています。
ミネラルが豊富で爽やかな酸を持つため魚介類との相性がよく、「海のワイン」と呼ばれることもあります。