ラインガウ ドイツのワイン産地12

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位置

 ライン川の右岸、マイン川との合流地点付近から、ナーエ川との合流地点付近までの地域です。
北西にはミッテルライン(Mittelrhein)、ライン川を挟んでナーエ(Nahe)、そしてラインヘッセン(Rheinhessen)と近接します。
ドイツ南西の主要な生産地が固まる地域では、比較的北側に位置しています。

テロワール

 ライン川が西へ90度蛇行し、また北へ流れるまでの区間がメインの地域となるため、ほとんどの畑が南向きの斜面に並んでいるという、ドイツでも異例なほどの好条件に恵まれています。
このライン川の恵みと背後のタウヌス山地のおかげで、北寄りの地域であるにもかかわらず年間平均気温は10度を超え、ブドウが十分熟成できる環境になります。
年間降水量は500ミリほどの少雨地帯ですが、シーファー(粘板岩)やローム(粘土)が主となる土壌がしっかりと保水してくれます。
高緯度地域なので日照時間が長く、川面からの反射光もあって日光の恩恵に十分あずかることができます。

ワイン造り

 ドイツでももっとも優秀な畑が連なる重要産地ですが、栽培面積や生産量はさほど多くはありません。
ブドウの栽培面積は3145ヘクタール(約31.5平方キロメートル)、ワイン生産量は約2.3万キロリットルです。
ベライヒ(Bereich)はひとつだけで、グロースラーゲ(Groslage)は12、アインツェルラーゲ(Einzellage)は118です。
主なブドウ品種は、白ブドウはリースリング(Riesling)、黒ブドウはシュペートブルグンダー(Spätburgunder、=ピノ・ノワール)。
栽培品種のほとんどがリースリング(Riesling)で占められており80%弱。
さらにこれにシュペートブルグンダーをあわせると、二種で合計90%を超えるという、非常にシンプルな分布になっています。
赤ワイン:白ワインの比率もそれに連動しており、約15:85です。
ドイツ国内に5つだけ存在する、畑名のみの記載で販売することを許されている特別な畑オルツタイルラーゲ(Ortsteillage)のうち、なんと4つまでがこのラインガウに集中しています。
また、ライン川の水面から湧き上がる霧が明け方のブドウ畑を包んでくれるため、条件の合う年には貴腐ワインも造られます。

ベライヒ(Bereich)

ヨハニスベルク(Johannisberg)

 ラインガウ唯一のベライヒです。
当然ながら、ラインガウ全体をカバーしています。
ドイツ国内でもダントツでリースリングの栽培に適した地域で、畑の格付けを試みた際には1/3が一級畑と認められてしまったほどの高品質を誇ります。
そのため、ドイツ国内に5つだけ存在するオルツタイルラーゲのうち、シュロス・ヨハニスベルク(Schloss Johannisberg)、シュロス・フォルラーツ(Schloss Vollrads)、シュロス・ライヒャルツハウゼン(Schloss Reinhartshausen)、シュタインベルク(Steinberg)の実に4つまでがこの地区に属しています。
中央よりやや西寄りの地にあるヨハニスベルク城は、収穫解禁の報が遅れたことで偶然遅摘みのブドウを使用した醸造技法が発見された場所としても有名です。
ライン川が再び北向きに進路を変えるあたり、西のアスマンハウゼン(Assmannshausen)付近では、粘板岩土壌の畑を利用してシュペートブルグンダーを使用した赤ワインも造られています。