スパークリングワインを一番おいしく飲むには 温度、開栓時期、グラス選びの基本

 スパークリングワインは、炭酸ガスを含有している点や糖度などスティルワインと条件が大きく異なっているため、おいしく飲むための考え方も当然違ってきます。
スパークリングワインは、シャンパーニュ製法やシャルマ製法で造られた高級スパークリングを中心にコクのあるものも少なくありませんが、基本的にはしっかり冷やして飲むのが一番おいしい飲み方です。
溶け込んでいる炭酸ガスは水温が高くなるほど激しく放出されてくるので、冷やし方が足りないと口に含んだときの気泡が大きくなって口当たりが悪くなってしまいます。
また、ガスが含まれることで強く感じる酸味とのバランスをとるため、糖分の含有量も比較的多いので、温度が上がると甘ったるく感じてしまいがちです。
飲み始める数時間前には冷蔵庫に移すかワインクーラーに氷水と共に入れ、6~8度くらいまでしっかりと冷やして飲みましょう。

 スパークリングワインでも、開けた時点で熟成がしっかり進んでいないと感じるものに当たることがありますが、スティルワインなどのようにスワリングで酸化を進めることはできません。
キャラフェの中で行えば炭酸が抜けてしまいますし、ガスと一緒に繊細で優雅な香りも消えてしまいます。
グラスを回すと、最悪の場合は泡があふれてしまうことも。
香りをたたせる、という意味では立ち上る気泡がその役割を十分に果たしてくれますし、グラスの底や壁面から細い筋になって上がってくる泡を眺めるのもスパークリングワインの楽しみの一つです。
熟成については開栓のタイミングをしっかり見極めることで対処し、開栓後は気にしないようにしたほうが良いでしょう。
また、同じ理由で、抜栓も飲む直前に行うのが良いようです。
炭酸入りの清涼飲料水と同じように、栓を抜いたあとのボトルからは炭酸ガスと香りがどんどん抜けていってしまいます。
長時間放置しておくのはもちろん、温度が高い状態だと短時間でも泡立ちが悪くなり、味や香りにも悪影響です。

 メトド・リュラル方式や炭酸ガス注入方式をのぞいて、スパークリングワインは打栓前に滓を取り除く工程がありますが、それでも出荷後の期間が長くなれば再度澱が発生することも珍しくありません。
スパークリングワインの場合はガスが抜けないようにするためデキャンタージュは行えず、しっかりと沈殿させてグラスに入らないようにするしかありません。
事前に横からのぞいて澱の有無を確認し、澱が沈んでいるようなら早めにワインクーラーに静置して落ち着かせる、抜栓時や注ぐときにもできるだけ中のワインが動かないようにするなどして対処します。
しかし、開栓前はともかく開栓後はボトル内で泡が立つことから、かなり気を付けていても澱がグラスに入ってしまいがちです。
ワインクーラー内で横にしておいたり注ぐときに気を付けることで軽減することはできますが、たとえ飲んでしまっても口当たりが悪いこと以外は特に問題ないので、あまり気にしないのが良いかもしれません。

 スパークリングワインに使用されるグラスは、かつては横に平たく広がったクープグラスが主流でしたが、現在では縦に細長いフルートグラスが好まれます。
クープグラスだと、炭酸ガスがたくさんの筋になって上がってくるため見た感じはゴージャスになるのですが、ガスと香りが一気に抜けていってしまうため、ゆっくり楽しみたいときにはあまり向きません。
フルートグラスは気泡の筋が長く伸びて美しく、香りも鼻先に集まってくるためしっかりと楽しむことができます。
背が高い分不安定ですので、ほろ酔いの時は特にうっかり倒してしまわないように気を付けましょう。