ワインファンドのメリット・デメリット 資産としてのワインその1

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気になるワイン事業に小口融資 ワインファンドとは

 ファンドとは、運用会社や投資家などにお金を預けて運用してもらい、儲かったら出資割合に応じてリターンを得る仕組みのことです。
イベントや事業そのものに直接出資するタイプのものもあり、最近ではネット上で行う「クラウドファウンディング」が一般的になりつつあります。
ワインファンドはその中でも、ワインに関する事業に限定して運用する決まりになっているものを指します。
ワインの先物や現物の売買が大多数を占めますが、用地開発、品種改良、新しい醸造技術の試用など、いろいろな事業が対象になっています。
海外、特にヨーロッパではそれなりにメジャーな資産運用法といえます。

少ない資金で始められる業界との関わり ワインファンドのメリット

 ファンドでの運用の最大のメリットは、比較的小額から始められることです。
自らが事業運営をする場合との比較はもちろん、直接融資や株式の購入などと比べても、投資金額の最小単位は小さいことが多く、スタートまでのハードルは低めです。
運用は基本的に事業者が行うため、自分自身で動く必要はありません。
ファンドの形式によっては、リスクとリターンどちらを重視するか、短期的に小さな利益を狙うのか長期的な視点で運用するのかなど、投資信託のように希望に沿った形でポートフォリオを作成してもらうこともできます。
資産運用においては、「何に対して投資しているか」も重要な要素ですが、ワインファンドで集めた資金であれば当然ワイン関連の事業で使用されるようになっているため、自分の資産が良質なワインを造ることに使用されている、という満足感を得ることもできます。
また、ファンドによっては集めた資金で造られたワインを口数によってもらうことができたり、生産者との交流会に参加できたりといった特典がつくこともあります。
ブドウの栽培やワイン造りに直接携われないファンにとっては、積極的に投資をするモチベーションともなるでしょう。

人任せでは手痛い損害をこうむることも ワインファンドのデメリット

 「自分で運用方法を考える必要がない」ということは、裏を返せば「全て事業者に任せるしかない」ということでもあります。
定期的な報告をチェックすることはできても、基本的に出資者が事業に関して意見を言うことはできません。
また、事業がうまくいっているように見せかけて、実際には報告通りの運用を行っていない、というような詐欺が行われることもあります。
実際2016年には、「日本唯一のワインファンド」というふれこみで出資者を集めていた大手ファンドが、実際には新規出資者から集めたお金をそのまま配当に回すという典型的な詐欺であったとして破綻するという事件もありました。
出資した事業が行き詰ったりそもそも詐欺であった場合には、当然ながら大きな損失が出ます。
そもそも「銀行などから融資してもらえない」という理由でファンドによる資金調達を行うスタートアップや不安定な事業者なども少なくはないため、もし悪気がないにしてもリスクが高めのものもあると認識しておくべきでしょう。

 リスクを回避するためには、事業者の説明が正しいのかどうか、実際にうまく行く可能性は、もしくは失敗する可能性はどれくらいになるのかなど、投資対象に対する基本以上の知識をつける必要があります。
正しい知識をつけておけば、誇大説明になりがちな事業者の資料を鵜呑みにせず、(絶対に回避できるというわけではないにせよ)実際のリスクを推し量ることができるようになります。
「初心者でも簡単に始められる投資」であるファンドですが、「初心者でも簡単に儲けが出る」と混同しがちなので、間違えないように気をつけねばなりません。