フランスのスパークリングワイン(ムスー、クレマン、ペティアン、ヴァン・ムスー)

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ムスー

 ムスーは、フランスで造られるスパークリングワインのうち、シャンパンと同等のガス圧(5気圧以上)のものを指します。
AOCに指定されているものもあり、それらはシャンパンと同じ「シャンパーニュ製法」で造られますが、指定外のものではシャルマン方式など別の製法を採っているものもあります。
シャンパーニュ地方とは違った特徴を持つブドウで造られるため、好みによってはシャンパン以上に気に入る銘柄が見つかるかも。
生産される地域の名前をつけて「ソミュール・ムスー」「アンジュー・ムスー」という具合に呼ばれますが、世界で始めてスパークリングワインが造られたランドック・ルシヨン地方にあるリムー地区で造られるものだけは、「ブランケット・ド・リムー」(「ブランケット」はバスク語で「発泡性の」という意味)と呼ばれます。
ちなみに頭にヴァン(=ワイン)を付けて「ヴァン・ムスー」というと、また別の意味に変わってしまうので注意が必要です(後述)。

クレマン

 クレマンは、フランスで造られるスパークリングワインのうち、シャンパーニュ地方以外で「シャンパーニュ製法」を用いて造られているもので、シャンパンよりもガス圧がやや低いもの(3.5気圧程度)を指します。
作られる地域の名前を伴って呼ばれ、「クレマン・ド・ブルゴーニュ」「クレマン・ド・ボルドー」「クレマン・ド・アルザス(クレマン・ダルザス)」「クレマン・ド・ディ」「クレマン・ド・ロワール」「クレマン・ド・リムー」「クレマン・ド・ジュラ」の7つがあります。
これらもシャンパンと同じようにAOCによる規定に沿っている必要があり、その地域で栽培されたブドウのみを使用する、ブドウの栽培方法や樹形が規定通り、ティラージュのあと出荷までに寝かせねばならない最低期間(地域によって多少差がある)以上熟成させてある、など厳しい条件をクリアしなければクレマンを名乗ることは許されません。
そのためシャンパンと同じように高い品質を保持していますが、シャンパンに比べると手ごろな価格の物が多く、自宅などで気軽に楽しむことのできる良質なフレンチスパークリングとして愛されています。

ペティアン(ペティヤン)

 ペティアン(ペティヤン)は、フランスで造られるスパークリングワインのうち、シャンパンよりもかなり低いガス圧(2.5気圧以下)の微発泡のものを指します。
一次発酵の途中で瓶詰めし、糖類の追加をしないメトード・リュラル方式で造られるものがほとんどで、辛口のものが多いのが特徴です。
田舎式、と言うとなんとなく品質が低いような感じがしてしまいますが、なかにはAOCで規定されているものもあり、良質な製品もたくさんあります。

ヴァン・ムスー

 フランス語で「発泡性ワイン」全体を指す言葉です。
語義的にはシャンパンも安価なスパークリングワインも同様に含みますが、より上位の名称が許される高品質なワインをわざわざ大雑把な表現で呼ぶことはほとんどないため、あまり品質の良くないスパークリング、という印象を持つことも。