ステイン ワインの飲みすぎが引き起こす美容への副作用

 私たちの歯は、エナメル層の表面に唾液由来のたんぱく質でできた「ペリクル」という薄い皮膜を持っています。
これは主に酸による歯へのダメージを最小限に抑え、表層が削れたりした際の再石灰化を促すことで歯を守ってくれている物質なのですが、その反面細菌や汚れを吸着してしまうというデメリットもあります。
このペリクル層に色素の強い物質が結びついて、落ちにくい汚れとして定着してしまったものがいわゆる「ステイン」で、その原因とされているのがタールやニコチンと並んでタンニンやアントシアニンなどのポリフェノール類なのです。
布につくしみのような汚れとは違うので、ワインを数回飲んだくらいですぐに影響が出るようなことはありませんが、時間をかけて沈着していくので変化に気付きにくく、一度ついてしまうと通常の歯磨きなどでは落とすことができなくなってしまいます。

 ステインを予防するためには、とにかくペリクルに原因物質を沈着させないことが大切です。
ポリフェノールを多く含む赤ワイン、特に色の濃いものやタンニンの豊富なタイプのものを飲んだあとは早めに口をすすぎ、1日の終わりには必ず歯磨きを行うようにしましょう。
赤ワインではなく白ワインを選んだ方がリスクはかなり少なくなりますが、白ワインにもポリフェノールが含まれていないわけではないので油断は禁物です。
対策していてもステインがついてしまったら、自分で無理やり落とそうとするのはやめましょう。
近年は歯を白くするホワイトニング効果をうたった歯ブラシや歯磨き粉も販売されていますが、ものによっては強力な研磨剤などが含まれており、歯をいたずらに削ってしまう恐れがあります。
ペリクル層の下のエナメル層にまで傷がついてしまうと、表面がざらついてさらに汚れがつきやすくなってしまい、場合によっては虫歯や歯周病の原因にもなりかねません。
歯医者や美容外科など、プロに任せるのが一番確実でかつ安全です。
日常的にワインを楽しむ方で歯の汚れが気になる方は、虫歯予防や口内衛生の維持も兼ねて、定期的に歯科を訪れるようにしましょう。