心血管疾患予防 ワインに期待できる健康効果
脳卒中や心筋梗塞など、時には命にかかわるレベルの大問題に派生する可能性のある心血管疾患。
日本人の死因の25%以上を占めるこの病群は、いまや誰にとっても他人事ではありません。
血液中の細かい血栓や血管の狭窄、血管内壁の膨張などによる高血圧、あるいは詰まりによる血管の破損など、様々な要因から発症するため、予防には日頃の生活習慣や飲食物に気をつけることが重要です。
ワインは薬ではなく、含まれている健康成分も万能ではないため、「ワインを飲んでいれば安心」というわけではありませんが、適量を飲むことで心血管疾患の脅威を遠ざけるためにプラスとなる効果が期待できます。
高血圧の改善
ワインには人体に吸収されやすい形でカリウムが多く含まれています。
よく塩分を取りすぎると血圧が上昇するといわれますが、これは血液内に増えすぎたナトリウムのバランスをとるために水分量が増え、その水分が浸透圧で血管内壁の細胞を膨張させて通り道を狭めるからです。
カリウムはこの過剰なナトリウムの排出を助けてくれるうえ、利尿作用もあるため余計な水分の排出がスムーズに行われるのです。
また、ワインポリフェノールの一種であるレスベラトロールには、血管を拡張する作用があり、同じ効果のあるアルコールとあいまって短・中期の高血圧改善に効果があります。
お酒を飲みすぎると翌日は顔や手足がむくみ、血圧が高い状態になりがちですが、ワインにおいては適量でならその心配もなさそうです。
抗酸化作用による血栓の防止
ポリフェノールには、体内で過剰に増えた活性酸素を除去する作用もあります。
体内で酸素を利用した際に発生するのが活性酸素で、これは外部から進入したウイルスなどを排除するなど有益な機能がある反面、細胞を傷つけたり老化を促進するマイナスの面もあります。
そして、この活性酸素と悪玉コレステロールが結びつくと、マクロファージ細胞に取り込まれた後これを膨張させ、血液の流れを阻害したり血管に張り付いて通り道を狭め、最終的には動脈硬化に陥ってしまうのです。
ワインに多く含まれるタンニンやアントシアニンなどのポリフェノールは、活性酸素と優先的に結びついて酸化する事で、悪玉コレステロールの酸化を防止してくれます。
これらの心血管疾患系に対する有益な効果は、カリウム量、ポリフェノール量ともに多い赤ワインが最も高いようです。
また、長期間熟成した高級なワインのほうがタンニンの重合が進んでいるため効果が高いとされています。
ワインは言うまでもなくアルコール飲料で、アルコールの過剰摂取は長期的には血圧の上昇や脂質の蓄積による循環系への負担を高めてしまいます。
手頃なワインとたくさん飲むのも楽しいのですが、高級なワインを毎日少量ずつ飲むほうが、健康には間違いなく良いといえるでしょう。