各種ドライフルーツ 果汁濃縮系ワインに合わせる料理

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 ドライフルーツは、果物を干したり砂糖などに漬け込むことで、水分を減らして保存性を高めたものです。
他の食材と同じように、乾燥させることで食感や風味が変化します。
特にフルーツの場合は甘みが増し、酸味があまり感じられなくなるため、生の状態よりも果汁濃縮系ワインのとろりと凝縮した風味に合いやすくなります。

ワインと合わせる場合は、「ワインの香りに同じニュアンスが含まれているフルーツを選ぶ」と失敗が少なくなります。
生の果実の状態で色が近いものを選ぶ、という手法もありますが、例外も少なくないため参考程度にとどめたほうがいいでしょう。
貴腐ワインやアイスワインなどの果汁濃縮系ワインは、とろとろとした舌触りと濃厚な甘みが特徴ですので、同じようにねっとりとした食感のものや強い甘みを持つものと相性が良いようです。

ドライフルーツの中でも、特に果汁濃縮系ワインとぴったりなものをいくつか見てみましょう。

マンゴー

 マンゴーは、ウルシ科マンゴー属の樹になる果実です。
ブドウと同じく栽培の歴史が非常に古く、東南アジアを中心に4000年以上前から親しまれてきました。
とろりとした食感と南国フルーツらしい香り、そして高い糖度が特徴で、ドライフルーツになると、強い甘みはそのままに、さくさくもちもちした食感と熟成させたような濃厚な香りになります。
日本国内でも栽培されている果樹ですが、ドライフルーツとして流通するものはほとんどがフィリピンかタイのもののようです。
フィリピン産のものは一般的に砂糖をまぶして甘さを増しており、ねっとりとした舌触りと固めの歯ごたえ。
タイ産のものはそのまま干したものが多く、生のときと同じような風味を楽しめます。
ワインはどんなタイプでも合わせやすいのですが、どちらかというと温暖な気候や長く強い日照の地域で造られたもののほうが相性がよいはずです。

 バラ科桃属の樹になる果実で、中国が原産。
日本でも広く愛されている代表的なフルーツの一つです。
しかし、完熟すると水分の含有量がかなり高くなる上、生のままでもジャムや菓子原料としても人気が高い分わざわざドライフルーツにする必要性が乏しく、ドライピーチは国内外共にあまり見かけません。
乾燥させると、あまり硬くなりすぎずさくさくとした歯ごたえで、酸味も比較的残りやすいようです。
そのため、果汁濃縮系ワインの中でも甘さが控えめで、さらっとした飲み口のタイプのほうが相性が良いでしょう。

りんご

 バラ科リンゴ属の樹になる果実。
6000年以上前にすでに食べられていた痕跡があり、現在は熱帯以外の国や地域で広く栽培されています。
ドライフルーツにする場合、天日や温風で乾燥させる方法と、砂糖で煮たりシロップに漬け込む方法があります。
前者は歯ごたえや保存性はいいのですが、果汁濃縮系ワインに合わせるのであれば十分な甘さが必要ですので、後者でしかも酸味がある程度少ないものが良いでしょう。
リンゴの樹自体が暑い土地ではうまく育たない植物なので、ワインも寒冷地方のもののほうが合わせやすいかもしれません。

イチジク

 クワ科イチジク属の樹になる果実です。
1万年以上前から栽培されていた可能性もある植物で、中東原産とされています。
聖書にも頻繁に登場し、ワインと同じく当時の人々にとって身近なものであったことが分かります。
ワインの香りをあらわす表現にもイチジクがあり、この香りを持つワインとドライフィグ(イチジク)は非常に相性が良いとされています。
他のドライフルーツに比べてあまり甘味の強い方ではないので、ワインも甘さ控えめのものを選ぶと良いでしょう。

バナナ

 バショウ科バショウ属の樹になる果実です。
基本的に熱帯から亜熱帯にかけて分布し、日本で食べられる甘いものから、蒸したり焼いたりして食べる芋のようなタイプのものまでいろいろな種類があります。
生の状態ではねっとりとした水分の少ない甘い果肉と、独特の香りを持っています。
ドライフルーツとしては、塊の状態でシロップにつけたり砂糖で煮てから乾燥させたものと、薄切りにしてチップ状に乾燥させたものがあります。
前者はねっとりとした食感がそのまま残っており非常に甘く、後者はビスケットのようにパリッと固くなっています。
前者は食感や香りが独特すぎて、ワインの風味を塗りつぶしてしまう恐れがあります。
後者でも十分甘いため、ワインに合わせる場合はこちらのほうが良いでしょう。
ちなみに、ワインでバナナの香りを持っているものは基本的にマセラシオン・カルボニック(炭酸ガス浸漬法)で造られたものですが、果汁濃縮系ワインのなかでこの製法をとっているものはありません。

レーズン

 ブドウ科ブドウ属の樹になる果実を乾燥させたもの。
つまり、ワインの原料と同じ、ブドウのドライフルーツです。
原料が同じなので、合わないわけがありません。
しかも、果汁濃縮系ワインの場合は(程度の違いはあるにせよ)水分が自然に抜けたブドウの凝縮果汁から造られるので、他のワインよりもさらにレーズンに近いワインといえます。
ワインとレーズンでは、一部共通する品種もありますが、基本的にはレーズンはレーズン用のブドウから作られています。
それでも、できればワインと同じ国や地域で栽培されたもの、もしくは近い特徴を持つ品種を選びましょう。
それが難しければ、シロップ漬けになっているなど、比較的甘いものを選んだ方が相性が良い可能性が高まります。

干し柿

 カキノキ科カキノキ属の樹になる果実を乾燥させたものです。
一般的に、生食に適さない渋柿が原料となります。
日本の果物のイメージが強いため、「ドライフルーツ」と言われるとなんとなく違和感がありますが、これもれっきとしたドライフルーツです。
ねっとりとした食感や熟成された甘味、酸味はほとんどなく香りも控えめという、果汁濃縮系ワインと相性ぴったりの特徴を持っています。
そのままでも十分おいしいのですが、薄切りにした有塩バターを間に挟んで食べると、クリーミーな脂肪分と塩味が甘さを引き立てて、さらにワインに合う味わいになります。

 ドライフルーツは、全体的にチーズやバター、スパイス、はちみつなどと合わせることによって、果汁濃縮系ワインとの相性がさらにアップします。
ここに挙げたもの以外でも、組み合わせによっては素晴らしい相性を持つようになるものも多いので、ぜひ色々とチャレンジしてみてください。