ワインアプリを使った記録 簡単アプリから本格派まで

目次

ワインアプリとは

 アプリとは、もともと「アプリケーション」の略称で、オペレーションシステム(OS)上でなんらかの具体的な目的を持って動作するソフトウェア全般のことを指します。
現在では専ら、スマートフォンやタブレットなどで使用するソフトウェアに対して使われる用語となってします。
スマホアプリを専門に開発する会社なども珍しくなくなった今では、メモ帳や電卓などのシンプルなものから音楽や動画の再生、電子マネーの管理、企業サービスの窓口、ゲームなど無数のアプリが存在するようになりました。
そして、ワインの検索や購入、そして記録に特化した「ワインアプリ」も、端末の公式アプリサイトで検索すると大量に見つけることができます。

他の機能のアプリと同様、ワインアプリもそれぞれ異なる目的や使い方にあわせていろいろなタイプのものが作られています。
ワイン(テイスティング)ノートの機能を持つものだけでも、ワインやその関連知識を検索できるもの、ソムリエ資格試験対策がついているもの、ショップと連携して直接通販できるものなどがあり、見た目や入力項目、使い勝手も様々です。
無料のアプリも多く、有料でもさほど高価ではないものがほとんどなので、いろいろと試してみて自分にあったアプリを探してみるといいでしょう。

アプリを使用するメリット、デメリット

 手書きのノートではなくアプリを使用してワインの記録をつけていくことには、メリットもデメリットもあります。
主なものを見てみましょう。

メリット
  • すぐに使用できる

 いまや電話やメールといった基本的な通信機能だけでなく、メッセージの即時やり取りやSNS、カメラ、電子マネー、テレビ、音楽プレーヤーなどありとあらゆる機能を内包し、現代人の必携アイテムと化したスマートフォンは、財布やメガネと同じレベルで常に持ち歩くものとなっています。
そのため、突然ワインを飲むことになっても、それが自室ではなくレストランやバーなど外出先でも大抵はすぐに取り出すことができます。
一方、ノートを使用している場合、よほど頻繁にワインを飲む人でなければ常に携帯しているとは考えられないため、外で飲んだワインの情報はいったんメモを取って持ち帰り、改めてノートに写さねばなりません。
手間が増えることで面倒になってしまう恐れもありますし、自宅につくまでの間に印象が薄れたり変化してしまう可能性もあります。
必要なときにいつでも取り出してすぐに使えるのは、アプリの最大の利点といえるでしょう。

  • 手書きより早い

 個人差はありますが、スマートフォンなどでの文字入力はパソコンや手書きに比べて時間がかかりがちなため、ワインアプリの多くは入力を簡略化できるように工夫して作られています。
生産地やブドウ品種などをいくつかの選択肢から選べるようになっていたり、テイスティングの結果を5段階式で評価したり、高機能なものになるとラベルの画像を読み取って自動的に情報を取得してくれるものもあります。
結果として手書きでひとつひとつ入力していくより、かなり速く情報をまとめることができるのです。
数が多くて時間をかけられない方やパーティなどのシチュエーション、手軽に記録していきたい方には大きなメリットとなります。

  • ラベルの保存がカメラで簡単

 ワインボトルからラベル(エチケット)をきれいに剥がして保存するのは、割と大変な作業です。
昔ながらの接着剤を使用している場合は水につけることで簡単に瓶から剥がせますが、同時に破れやすくなるため慎重に作業せねばならず、水につけておくのも剥がしたあとに乾かすのにもそれなりに時間がかかります。
接着剤の種類やラベルの材質によっては水ではがれない場合もあり、その場合は剥離用の溶剤、あるいは直接的にスクレーパーを使用して、少しずつ根気強く剥がすしかありません。
その点、アプリであればスマホのカメラで写真を撮って画像として残しておくのが容易で、時間も労力もほとんどかかりません。
特にレストランなどでうれしいポイントといえるでしょう。

  • 日付や時刻が正確

 最近のスマホは通信機能によって日付や時刻を定期的に修正しているため、余程のことがない限り正確な日時を常に保持しています。
当然、アプリに情報を入力したり写真を撮った日時も正確に記録されるため、間違いがありません。
手書きで、特になかなか時間が取れずメモを数週間や数ヶ月に一度ノートにまとめるような方法をとっていると、どうしても日時が不正確になりがちなので、後日の検索性に差が出てきてしまいます。

  • ネットの情報やショップとの連携

 ワインに関する周辺情報を調べたり、気に入ったワインを通販するのであれば、アプリのほうが明らかに便利です。
銘柄を入力した場合はもちろん、ラベルやバーコードを読み取って自動で検索できるものもあり、いちいち自分で考えながら情報を探す必要がありません。
近年ではHPアドレスや詳細情報を取得できるQRコードをラベルに印刷してあるワインも増えてきており、ますます簡単にアクセスできるようになってきています。
スマートフォンやタブレット上で作動しているため、インターネットと連携しやすいのもアプリの利点といえるでしょう。

デメリット
  • データの消失や破損によって一度に全滅する恐れがある

 アプリを使用する際の最大のデメリットといえば、間違いなくデータの消失でしょう。
最近ではかなり改善されてきたとはいえ、電子機器上に保存してあるデータはどうしても消えてしまうリスクをある程度持っています。
物理的な破損はもちろん、ちょっとした衝撃や静電気でも致命的なダメージを受けかねません。
しかもそうなった場合はデータの一部ではなく、全部が読み込めなくなるのが一般的です。
これが実物のあるノートであれば、例えば水没などで紙に大きなダメージがあったとしても、それで内容まですべて読めなくなってしまうなどということはそうありません。
最悪でも、読める部分をコピーしたり書き写すことで、かなりの情報を救える可能性があります。
長い時間と労力をかけて作り上げたデータベースが一瞬で無に帰すリスクは、アプリならではのものといえるでしょう。

  • 携帯の機種変などで引き継げない、アプリのサービス終了

 データが無事でも、それを読み込むためのスマホ本体やアプリがなくなってしまう可能性もあります。
最近の電子機器の発達は目を見張るものがあり、わずか数年で最新機器が過去のものとなっていきます。
機体が新しくなってもデータが引き継げるうちはいいのですが、アプリが対応できなくなると新しいスマホでは使用できなくなります。
また、クラウドなどネットワーク上の機能を使用したアプリの場合、サービスの終了と同時に機能の一部、もしくは全部が使用できなくなってしまうのです。
とりあえず今だけ使えれば良いというケースはともかく、長い時間をかけて記録を残していきたい場合には、そのアプリデータの保存形式や保存場所についても事前に確認しておいたほうがいいでしょう。

  • ラベルやミュズレなどの現物が残らない

 ワインノートを付けるのと並行して、ラベルやコルク、ミュズレトップなどを集めるのも楽しいものですが、当然ながらこれらの現物はデータ上には残せません。
立体物はともかく、ラベルのコレクションについての利便性では、実物のノートの方に軍配が上がります。
別のノートなどに残していくことはできますが、ワインの情報と離れてしまう点はやはりデメリットといえそうです。