ウンブリア州 中央イタリア1

目次

ウンブリア州(Umbria)

 ウンブリア州は、イタリア全土のほぼ中央に位置する州です。
トスカーナ州(Toscana)、マルケ州(Marche)、ラツィオ州(Lazio)と州境を接しています。
イタリアの中で唯一海にも他国との国境にも接しておらず、周囲を完全にイタリアの他州に囲まれています。
ローマ帝国以前のエトルリア人時代からいくつもの都市が造られていた半島の主要地域のひとつで、今でも紀元前から残る遺跡が多く見られます。
当然のようにワインの歴史も古く、独特の製法を守るDOPワインも少なくありません。
土地の7割以上が丘陵地で、海に面してはいないものの地中海性気候を持つ地域となっており、穏やかな冬と暑い夏が特徴のテロワールを有します。

ウンブリア州のワイン造りに関する歴史

 イタリア半島のほぼ中央にあるウンブリア州は、イタリア全体で見てもかなり早くから発展してきた地域でした。
州内で最も古いDOPであるオルヴィエート(Orvieto)は紀元前7世紀ごろから造られているとされ、ローマ人より以前のエトルリア人から受け継がれているといわれています。
ローマ帝国の分裂後、一部地域はランゴバルド王国の支配を受けましたが、中央部の南北に細長い地域(特に南部)はラヴェンナとローマを結ぶ直線範囲に含まれていたことから最後までローマ帝国領のまま残り、9世紀以降は大部分が教皇領として統治されることになりました。
キリスト教の最重要機関の領土となったことで、ブドウ畑の開拓や醸造技術の発展も進み、12世紀前後にはすでに著名なワインがいくつも記録されています。
特に現在の州都であるペルージャ周辺では、当時から受け継がれているワインを今も造り続ける地域がDOPワインの産地として指定されています。
ルネサンス期にはイタリアでは例外的なレベルの厳しい規定を持つワインも現れ、違反者は厳罰に処せられたと言われるほど。
しかし、同時に商業や芸術方面でも発展したため、ワイン産業自体は存在感が薄くなってしまいました。
第二次世界大戦後も、どちらかというと豊富な自然や歴史ある建造物を売りにした観光産業が中心となりましたが、一部の地主や資産家が積極的に投資を行ったことから、20世紀末頃にはDOCGワインもあらわれています。

ウンブリア州のワイン造りとテロワール

 ウンブリア州は土地の7割以上が丘陵地になっており、温暖な地中海性気候の影響もあって赤ワインの生産が多くなっています。
DOCGクラスのDOPワインは2つですがどちらも赤ワインのみ認められており、全体的に高いアルコール度数と柔らかな口当たりが特徴となっています。
白ワインは地元や国内向けのものが主流ですが、西暦前から造られていたことで知られる「オルヴィエート(Orvieto)」など、いくつかの有名な銘柄のものも存在します。