スペインの主要な黒ブドウ品種 赤ワイン用ブドウその4
テンプラニーリョ(Tempranillo)
リオハが原産の、スペインで最も生産量の多い赤ワイン用ブドウ品種です。
世界的にみても、黒ブドウ中第4位の生産量を誇ります。
紀元前から栽培されていた非常に古い品種で、耐湿性や耐熱性に富み、昼夜の寒暖差が激しいほど良質な果実をつける特徴を持ちます。
一般的な早熟系ブドウよりもさらに早く成熟するという特徴を持ち、品種名もスペイン語で「早熟な」という意味の「テンプラーノ」(Temprano)に由来します。
カベルネ・ソーヴィニヨンなどにくらべてボディは弱めで、ほとんどがグルナッシュやカリニャンなどとブレンドされますが、実は樽による長期熟成に適した品種でもあります。
基本的にはフルボディの、繊細で複雑ながらタンニンは控えめなワインになりますが、樽を使用するか否か、ブレンドの相手はどの品種か、熟成の期間をどれくらい取るかなどの条件によって多種多様なスタイルを獲得します。
スペイン以外では、フランス、アメリカ、オーストラリアなどで栽培されており、それぞれグルナッシュ、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラーなどとブレンドされるほか、フォーティファイドワインの原料となることも。
たくさんの別名を持つ品種で、国や地域、地方ごとの名称は軽く数十種類に上ります。
ボバル(Bobal)
中世のころから栽培されてきた、ややマイナーな赤ワイン用ブドウ品種です。
耐候性、耐熱性が高く、除葉を控えめに行うことで日差しの強烈な地域でも栽培が可能です。
他のブドウに比べてたくさんの果実を収穫することが可能で、また果皮が非常に厚く、濃い色と強い酸味を持つことから、基本的にブレンド用とされています。
ただし近年、スペイン中部のマンチュエラで収穫量を絞って品質を上げた果実を単独使用したワインも造られるようになりました。
十分に濃縮された果汁は、ミネラル感と爽やかな酸味をもったたっぷりとした味わいで、現在にわかに注目を集めつつあります。
ガルナッチャ(Garnacha)
グルナッシュのスペインでの呼び名です。
全世界の作付け面積のうち、60%がスペインにあるとされています。
テンプラニーリョなどとブレンドで使用されることが多かったのですが、近年では単独で使用したワインも生産されるようになってきています。