南アフリカのワイン造り 特徴、地名、気候など
南アフリカの主な生産地
南アフリカのワイン生産地は国内全域にありますが、そのうちの80%以上は17世紀に最初のブドウ栽培とワイン造りが始まったケープタウン周辺の地域、西ケープ州で生産されています。
西ケープ州の主な生産地域は以下の通りです。
コースタル地方
ウェリントン
コンスタンシア
スワートランド
ステレンボシュ
ダーリン
タルバッグ
パール
オリファンツ・リヴァー地方
シトラスダル・ヴァレー
ルツヴィル・ヴァレー
クライン・カルー地方
カリッツドープ
ランゲバーグ=ガルシア
ブレーダ・リヴァー・ヴァレー地方
ウースター
ロバートソン
その他の地域
オーヴァーバーグ
スウェレンダム
ウォーカー・ベイ
複雑な斜面と「ケープドクター」 南アフリカの地理的特徴
南アフリカは全体的に起伏が大きく、複雑な形状の斜面が目立つ地形が特徴です。
温暖で日照時間が長いことは共通していますが、あとは地域ごと、場合によっては畑ごとに条件が異なります。
昼夜の寒暖差の大小、湿度、季節ごとの気候変化の大小、霧の発生の有無、霧の発生時間、降水量、陽の当たる時間帯など、あらゆる細かい条件の差が、個性豊かなブドウとワインを生み出してくれるのです。
春から夏にかけて「ケープドクター」と呼ばれる強い南東の風が吹き、これによって大量の化学薬品に頼らずともうどん粉病や灰カビ病になりづらい地域特性を持っています。
湿度が高く風があまり吹かない地域や、自然農法系のブドウ栽培(ビオ、ビオディナミ)にチャレンジしている生産者から見れば、なんともうらやましい土地と言えるでしょう。
赤、白とも独特のラインナップ 南アフリカのブドウ
栽培されている主要なブドウ品種は、白ブドウではシュナン・ブラン、コロンバール、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネなど、黒ブドウではカベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、ピノタージュ、メルローなどです。
シュナン・ブランは、フランスのロワール地方でも多く栽培されている品種で、印象的な酸味と松脂に例えられる独特のアクセントが特徴。
ロワールではこのブドウの持つ長期熟成適正を利用して、辛口の白であるにもかかわらず数十年もの熟成期間を耐え抜くワインを生み出しますが、南アフリカではコロンバールとブレンドすることで、もっと気軽で爽やかな口当たりの白ワインに仕上げているケースが多いようです。
黒ブドウのピノタージュは、1925年に人工的な交配によって作られた品種で、ピノ・ノワールとエルミタージュを親に持ちます。
南アフリカ独自の品種とされ、酸味や渋みが強く、非常に個性的なニュアンスを持った赤ワインになります。
近年ますます強まる嗜好の分散化・差別化の傾向の中でも、十分に戦える底力を秘めた品種と言えるでしょう。