マディラの定義と種類 フォーティファイドワインとはその5
世界三大フォーティファイドワインのひとつ マディラとは
マディラは、ポルトガルの首都リスボンから南西1000kmに位置する島、マディラ島で造られるフォーティファイドワインです。
ポート、シェリーと並び、「世界三大フォーティファイドワイン」のひとつとして数えられており、アメリカ合衆国の独立宣言時に乾杯用ワインとして使用されたという逸話もあります。
添加するアルコールはブドウを原料とした96度の超高度数のアルコールで、仕上がりは17~22度と規定されているなど、いくつかの条件がありますが、もっとも大きな特徴といえるのはアルコール添加後の樽熟成の方法です。
偶然の発見だった マディラが造られるようになるまで
マディラ島はもともと、大航海時代にポルトガルと喜望峰周りの航路などを結ぶ重要な中継地点として栄えた島でした。
マディラ産のワインは当然船にも多く積み込まれたのですが、アフリカ大陸を回りこむ長い航海の間に品質が変化し、独特の香味を獲得していることが知られるようになります。
この特殊な変化が赤道付近の高温域で起こる熟成によるものであることを突き止めた人々は、試行錯誤の末「樽熟成中、長期間にわたって高温環境に置く」という製法を編み出したのです。
驚くべき高温熟製法 マディラの製法とは
「天然熱熟製法」と呼ばれる、この各国のワイン造りの工程の中でも一際異彩を放つ手法は、単純に高温(30~50度)になる保管庫に樽を長期間置く方式(Canteiro/カンテイロ)と、人工的な加熱装置を使用して短期間(最低3ヶ月以上)で高温熟成する方式(Estufa/エストゥファ)のいずれかに分類されます。
カンテイロの方が高級な製品に使用され、単一品種・単一収穫年度のブドウを使用するフラスケイラ(Frasqueira)と呼ばれるヴィンテージワインの場合、最低でも20年間その環境に置かれます。
エストゥファの場合は数ヶ月で過熱は終了しますが、その後の常温での樽熟成は3年以上かけて行われますので、「マディラは全て3年以上の樽熟成を経ている」と言えます。
欧米やインドなどでは古くから愛好されているため、中には100年を超えて保存されている超貴重なボトルもあるようです。
マディラの分類 熟成期間や糖分量によって区別
マディラは熟成期間や原料などにより細かく分類されることになっており、前述のフラスケイラを筆頭に、単一収穫年度でブドウはブレンドが許される「コリエイタ」、使用する原料に規定のない「ファイネスト」、10年以上の熟成期間をとり複数の樽からのブレンドを行う「リザーブ」などに分かれます。
また、残留糖分量によっても4段階(ドセ(甘口)、メイオ・ドセ(中甘口)、メイオ・セコ(中辛口)、セコ(辛口))に分類されます。