イタリアのワイン造り

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フランスに肩を並べる一大生産国

 イタリアのワイン生産量は年間約411万t、ブドウ栽培面積は約7800平方キロメートルです(2014年度)。
これは生産量約429万tのフランスに次いで世界第2位。
しかも年度によっては逆転し、イタリアが1位になる年も珍しくなくなってきています。
もともとブドウの栽培に適したテロワールを持ち大量生産が容易であることや、歴史的にテーブルワインやバルクワインといった「質より量」のワイン造りがメインだったこともありますが、20世紀後半からのワイン産業への注力の結果として産地が拡大し、品質も向上しているのも大きな要因であることは間違いないでしょう。
実際、低価格帯だと思わぬはずれに当たることもある他の国のワインに対して、イタリアは安定して一定以上の品質になっている、という評価も聞かれます。
まだフランスの主要な産地のワインのように資産としてやり取りされる状況にまではなっていませんが、名声の高さから高値で取引されるワインも出てきています。
こうした状況が続けば、生産量だけでなく品質面でもフランスを脅かすようになるかもしれません。

南北の格差が激しい

 イタリアが現在の形に統一されたのは、1861年のことです。
それ以前はローマ帝国の崩壊直後から多くの国や民族にかわるがわるされ、8世紀以降は北側と南側ではっきりと別れた歴史を歩んできました。
南部では13世紀頃から搾取と圧政の歴史が長く続き、15世紀まで海洋交易や金融業で成功していた北部に比べて文化的・経済的に発展が遅れました。
また、最終的にイタリアを統一したのがピエモンテ州に本拠地のあるサルデーニャ王国だったこともあり、統一後も北部偏重の風潮が根強く残り、それがワインの生産地にも影響を及ぼしています。
現在、高品質なワインであるDOPワインの割合は北イタリアの州のほうが圧倒的に大きくなっています。
南イタリアでもワインの生産量の多い州はあるのですが、ほとんどがテーブルワインやバルクワインになっており、DOPワインは数はそれなりにあるのにその生産量はわずかです。
そのため、海外での知名度も北イタリアのもののほうが高く、歴史ある銘酒であっても南イタリアのものはあまり知られていません。
ただ、近年では20世紀末の大きな改革の効果もあり、こうした格差が小さくなりつつあるようです。
テロワール的に優れた土地も少なくない南イタリアのワインが急激に知名度を向上させる日も近いかもしれません。

非常に古い歴史を持つ産地とブドウ品種

 イタリアは地理的にギリシャと近く、地中海に突き出す形になっているため、ヨーロッパの中でも特に早い段階からワイン造りが始められていた土地です。
ブドウ栽培とワインが伝わったのは紀元前20世紀ころ、ワイン造りが本格化したのが紀元前8世紀ころとされており、フランス(ガリア地方)でブドウ栽培がはじまったのが紀元前6世紀ころであることと比べると、どれだけ早かったかが分かるでしょう。
そのため、現在まで伝わっている主要な産地の中には非常に古い歴史を持つものも少なくはなく、「ローマ人が征服する前にエトルリア人が造り始めた」「ローマ帝国内で非常に高い評価を得ていた」といったエピソードも珍しくありません。
また、中世以降、他の国で品種改良が盛んだった時期に文化や産業が停滞していたこともあり、ワイン造りに使用されるブドウ品種も古いものが多く、近代的な改良を施されたブドウとは違う独特な特徴を持っています。
扱いが難しかったり生産性が悪い品種も多いのですが、醸造技術や設備の近代化でカバーできるようになった現代ではむしろ他にはない味わいを生み出せるとして注目されるようになってきており、近年では栽培地域が広がってきている品種もあらわれてきているようです。