ワインのボディの表現の仕方 ワインの表現その3

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 ワインの個性を説明する際に登場する「ボディ」という表現があります。
ラベルやプライスカードでも「ライトボディ」「フルボディ」といった感じで使用され、普段からあまりワインを飲まない方でも知っているくらいのメジャーな表現といえるでしょう。
しかし、具体的に何を示しているのかと聞かれると、明確に答えられない方が多いのではないでしょうか。

 ボディとは、主に赤ワインについて使用される表現で、ワインの持つ味や香りの厚み、強さを指します。
基本的に3段階の評価で、味わいが軽いものを「ライトボディ」、しっかりとしたものを「フルボディ」、その中間を「ミディアムボディ」と呼びます。
(近年では、「ライト寄りのミディアムボディ」というような使い方をしているケースもあります)
ph値やアルコール度数のように数値化されているわけでも明確な基準があるわけではなく、生産者や販売業者、そしてテイスティングした人が独自の基準で評価しています。
そのため、例えば同じ「ミディアムボディ」とされているワインでも、飲んでみるとまったく印象が異なる、ということも珍しくありません。
そもそも、全ての赤ワインをたった三つの区分のどれかに当てはめて評価しているのですから、どうやっても無理が出てしまうのは当然ともいえます。

 全ての味や香り、成分がボディに影響を与えますが、特に重要なのがタンニン、アルコール、糖分です。
これらのいずれかが平均よりも多いワインは、他の成分値が平均的でもフルボディとみなされる傾向があります。
そのため、「アルコール度数」「産地」「使用されているブドウ品種」などから、ある程度ボディを推測することもできます。

 あくまで目安ですが、それぞれのボディの特徴は次の通りです。

ライトボディ

 三つの区分の中で、最も軽い口当たりのものです。
タンニンやアルコールが薄く、白ワインのように酸味が際立っているものが多いのが特徴です。
また、一般的には色の薄いブドウを使用するか、固形部分(マール)との接触時間を短縮するため、品種にもよりますがワイン自体もルビーのような明るくて透明な赤色になることが多いようです。
タンニンの含有量が多いため、長期間の熟成や濃い料理とのマリアージュには向きません。
どちらかというと白ワインのようなさっぱりした味わいになるため、短時間で気軽に飲むような食事の前半、もしくはカジュアルなパーティなどで飲むようにすると良いでしょう。
早飲み系らしいフレッシュな果実味と香りが、仲間とのおしゃべりや華やかな空気をよりいっそう引き立ててくれるはずです。
平均的に安価なものが多いのも、気軽に飲めるポイントの一つ。
試してみて、もし物足りなく感じるようなら、果物やスパイスなどを漬け込んでサングリアにしてしまいましょう。
ワイン自体が強い個性を持っていないため、漬け込んだ副原料の成分を良く吸収し、糖分や酸味も補強されておいしく飲めるようになるはずです。

ミディアムボディ

 ライトボディとフルボディの中間です。
タンニンやアルコール量はもちろん、他の成分もバランスが良く、「しっかりとワインの味や香りを楽しみつつも、飲みやすい」という優等生的な特徴を持ちます。
もちろんミディアムボディの中でも、ライトボディ寄りかフルボディ寄りかでかなり味わいが異なりますが、ある程度どんな料理にも合わせやすいオールマイティなものが多いようです。
ちょっと高級なレストランなどで、たくさんは飲めないから一本だけ赤ワインを選ぶ、というときには、ミディアムボディのものを頼んでおけば、食事の最初から最後までたいていの味付けにしっかりとマッチしてくれるはず。
ただし、人数が多くて食事全体を通して何本か頼む、という場合には全てミディアムボディにするとちょっと飽きてきてしまう可能性もありますので注意が必要です。
もちろん、ひと口にミディアムボディといってもいろいろあるため、意図的に軽いもの、重いものを選べそうであれば問題ありません。

フルボディ

 三つの区分の中で、最も味わいのしっかりしたタイプです。
タンニンやアルコール、糖分のいずれか(もしくはいずれも)の含有量が多く、場合によっては「重い」「強い」「渋い」「飲みづらい」といった評価になるケースも。
ワインを普段から飲まない、もしくは赤ワインはちょっと苦手で、という方は避けたほうがいいかもしれません。
逆に、一般的な重さのワインでは物足りなく感じる方にとっては、少々高くても積極的に選んでいきたいタイプのワインとも言えるようです。
フルボディの場合、含まれる成分は全体的に多いのですが、タンニンやアルコールなどが突出して多いケースもあり、生産された国や地域、生産者によって味わいや特徴が大きく異なる可能性があります。
同じフルボディでも「タンニンが多いもの」と「アルコール度数が高いもの」では、味わいどころか方向性も大きく異なるからです。
そのため、はじめて試す銘柄の場合はイメージとまったく違うものにあたることもあり、なかには「これがフルボディ?」と言いたくなるケースもあるかもしれません。
また、高級なワインはしっかりと果汁を濃縮したブドウを使用して丁寧に造るためフルボディであることが多いと言われています。
そうでなくとも、ライトボディやミディアムボディよりも上級者好みとされるフルボディは多少値がはっても比較的売れやすいため、生産者や販売店によっては「どちらかというと濃いめ」くらいのワインでも、製品に箔をつけるため、他の製品よりも魅力的に見せるためにフルボディとして販売されるケースも少なくありません。
購入の際にはよくラベルや説明書きを確認し、自分のイメージと合うものかどうか、そもそも自分の求めるレベルのボディなのかどうかを良くチェックしましょう。
「濃いめのミディアムボディ」を避けたい場合は、価格が安いワイン、熟成期間が短いワイン、スクリューキャップのワインなどは注意したほうがいいかもしれません。
タンニンなどの成分をしっかり抽出するため、発酵時に固形部分(マール)との接触時間が長かったり、果皮が厚く色の濃いブドウ品種を使用しているものが多いフルボディのワインは、水色も他のボディに比べるとかなり濃いめ。
若いうちはグラスの向こうが見えないほど暗く濃密な赤や紫色のものも珍しくありません。
見るからに濃い味わいと香りを思わせるワインは、その色によっても気分を高めてくれるはずです。