アメリカの主要な黒ブドウ品種 赤ワイン用ブドウその5

ジンファンデル(Zinfandel)

 アメリカ原産で、現在でもほとんどアメリカでしか栽培されていない珍しい赤ワイン用ブドウ品種です。
黒紫色の中小粒の果粒が密集してつく、生食用ブドウで言うとデラウェアと巨峰の中間のような外見をしており、しっかりとしたタンニンとフレッシュな果実味、たっぷりとしたボディが特徴です。
果汁の含有糖分量が多いため、通常通りの発酵でもアルコール度数が高くなり、15度前後になります。
その出自は定かではなく、近年のDNA分析ではイタリアのプリミティーヴォという品種と同一らしいというところまではわかったものの、ジンファンデルとどちらが親なのかははっきりとした答えが出ていません。
一説には、ヨーロッパから輸入されたブドウのうちのいずれかから落ちた種で増えた品種なのではないかとも言われています。
(ブドウの樹のほとんどは交配種なので、種を育てても親とはまったく違う特徴を持つ樹が育ちます)
アメリカの品種ではありますが、フィロキセラに対する抵抗力はなく、ヨーロッパ系のブドウと同じように台木で増やします。
通常通り赤ワインにしても問題ない品質に仕上がるのですが、アメリカで一時期白ワインが爆発的に流行った際に、ジンファンデルを使用して白ワインの製法で造った「ホワイト・ジンファンデル」が開発されました。
きれいなピンク色(ジンファンデルは色素が多くて、普通に圧搾しただけでロゼの色になってしまいます)とすっきりとわかりやすい甘口のホワイト・ジンファンデルは、当時のアメリカ人の好みにぴったりだったため大ヒット商品となり、本来の性質とはかけ離れた印象が品種の特徴として広まってしまいました。
近年、ようやく特徴や適性が見直されるようになり、樽熟成や収穫量の抑制などによって本来の魅力を引き出したワインが造られるようになってきています。