シャンパーニュ(トラディッショナル)製法 シャンパンとはその2
世界中で実践されるシャンパーニュ製法
シャンパンという名称を使用できるのは、フランスのシャンパーニュ地方で造られたものだけですが、世界各国のほかの地域でも、シャンパンと同じ製法を使用したスパークリングワインは造られています。 他のスパークリングワインにはない味わいを生み出すその一連の工程を見てみましょう。
厳選された品種 シャンパーニュ製法のブドウ
シャンパーニュ製法では、単一品種のブドウを使うことは稀で、シャルドネ(白ブドウ)と複数のピノ系のブドウ(黒ブドウ)の果汁が使用されます。 これらのブドウから茎を取り除き(除梗)、白ワインと同じようにすぐに圧搾にかけます。 種や果皮と果汁をすぐに分離してしまうので、黒ブドウを使用してはいますが赤い色はつきません(ロゼのうち、ごく一部を除く)。
シャンパーニュ製法の一次発酵 炭酸ガスはまだ定着させない
果汁は果皮に付着していた酵母、もしくは添加された培養酵母で発酵しはじめますが、シャンパーニュ製法の場合はこの工程を「一次発酵」と呼びます。 発酵期間は赤ワインや白ワインと同じように1~2週間ほど。 アルコール発酵ですのでこの間にも炭酸ガスは発生しますが、シャンパーニュ製法では開放型のタンクや樽で発酵させますので、この一次発酵でのガスはすべて抜けていきます。
品質保持のためのこだわり シャンパーニュ製法のアサンブラージュ
一次発酵が終了したら熟成用のタンクや樽にうつしかえて休ませ、必要に応じて乳酸発酵(マロラクティック発酵)をさせます。 そして落ち着いてきたところで、一般的には他の畑、もしくは他の年代のものとブレンド・調合し、味わいを整えます(アサンブラージュ)。 シャンパーニュ製法の場合はこの「古い年代のワイン(リザーブワイン)を用いて香味を調節する」手法が一般的で、その年ごとのブドウの出来不出来に左右されず、一貫して同一水準の製品を生み出すための秘訣となってします。 ただし、ブドウの出来が非常に良い年は単一年度のブドウだけで造られることもあり、こうした製品は高価なシャンパンの中でもさらに貴重なものとして扱われることになります。
最大の特徴にしておいしさの源 ティラージュと瓶内二次発酵
味わいが決まったワインは、他のワインと同じように瓶に詰められて熟成されるのですが、シャンパンの場合はここで天然酵母と蔗糖液が加えられます(ティラージュ)。 これによって密閉された瓶の中で瓶内二次発酵が起こり、ワイン液内に天然の炭酸ガスが溶け込んでいくのです。 この発酵にはおよそ2ヶ月(6~8週間)かかり、さらにその発酵過程で発生した滓と共に1年以上(シャンパンの場合は最低でも15ヶ月以上)寝かせて、滓に含まれる旨みやコクをじっくりワインに溶け込ませていきます。 この熟成期間は使用したブドウの特性やワインのポテンシャルによっても変わり、高級なシャンパン(グラン・キュヴェ)になると5年近く寝かせておくこともあります。
熟成を終えるための下準備 「動瓶」ルミュアージュ
期間中は一定の期間ごとに瓶を動かし、滓の溜まる位置と滓に触れているワインの面積を調整していきます。 最初は滓がより多くのワインと触れているように瓶を寝かせた状態からスタートし、長い期間をかけてゆっくりと、口が下になるように瓶を立てていきます(ルミュアージュ)。 こうすることで、熟成が終了する頃には滓が瓶の口の所に溜まっている状態になります。
デゴルジュマンと門出のリキュール シャンパーニュ製法ワインの完成
熟成期間終了後、滓の部分を急速冷凍して凍らせてから仮栓を抜きます。 こうすることで、塊になった滓が内部のガス圧によって排出されるのです(デゴルジュマン)。 滓を抜いたら、瓶に詰める前に取り分けておいたワインに蔗糖や砂糖などを溶かしたもの(リキュール・デスクペディシオン/門出のリキュール)を注ぎ、独特の形をした栓と針金で封をします。 この時添加されるリキュール・デスクペディシオンの糖分量によって、そのシャンパンが甘口になるか辛口になるかが決まります。 これはラベルなどの表記で確認でき、甘い方から順に、ドゥー(残留糖分量50g/リットル以上)、ドゥミ・セック(残留糖分量32~50g/リットル)、セック(残留糖分量17~32g/リットル)、エクストラドライ(残留糖分量12~17g/リットル)、ブリュット(残留糖分量6~12g/リットル)、エクストラ・ブリュット(残留糖分量0~6g/リットル)、ノン・ドゼ(残留糖分量3g/リットル未満、もしくはリキュール・デスクペディシオンに糖類無添加)の6段階に分類されています。