ホイルカッター、エアレーター、ワインクーラー おいしく飲むためのその他の道具

目次

ワインクーラー

 白ワインやスパークリングワインなどを冷やすための道具です。
昔から使われてきたのは、ワインボトルがすっぽり入るくらいのサイズのバケツのような形状の容器で、氷と水を入れられるようにゆとりを持った大きさになっているものが多いようです。
ガラスやプラスチックなどでできた透明なもの、金属製の頑丈なもの、素焼きになっていて染み出した水が気化することで冷える仕組みになっているものなどがあります。
また、近年ではワインボトルを入れたりボトルにかぶせたりするタイプのスリーブ型のワインクーラーも販売されています。
柔らかいタイプの保冷材を入れたものや、断熱材が入っていて耐水性の、氷と一緒に使うタイプのものなどがあり、ボトルの形状などに合わせて選ぶことが出来るようになっています。
前者は使い方が単純で、テーブル上を華やかに飾ってくれるスタイリッシュさが特徴。
一方後者は、水に直接触れないためラベルなどが剥離してしまうのを防ぎ、持ち上げたときにいちいち雫をふき取る手間がありません。
それぞれにメリットがあるので、どんなシチュエーションで飲むのかにあわせて使い分けると良いでしょう。
ちなみに、早飲み系以外の赤ワインをワインクーラーでしっかり冷やしてしまうと、苦味や酸味が際立ちすぎて香りが楽しめなくなってしまう可能性もあるので、注意が必要です。

デキャンタ

 主に赤ワインに使用される、ワインを移すための容器です。
本来はデキャンタもキャラフェも同じもの(水差し)ですが、「デキャンタージュ」「キャラファージュ」という目的の違う作業があることから、現在では用途によって呼び分けられるようになっています。
デキャンタージュは、澱が含まれるワインの上澄みを別容器に移して、グラスに注ぐ際に澱が混じらないようにするための作業です。
片手でボトルを、片手でデキャンタを持ち、揺らさないように作業を行う必要があります。
そのため、デキャンタは一般的に口がやや広がっていて首は(そこを握って保持するため)細長くなっているものが多いようです。
澱が多く発生しているワインは熟成もかなり進んでいるため、余計な酸化が起こりにくいよう胴の部分は球状に膨らんでいて、簡易なふたがついたものもあります。
専用のものでなければいけないというわけではありませんが、デキャンタージュの作業を円滑に進める上では、やはりそのために設計されたものの方がやりやすいようです。

キャラフェ

 ワインを移すための容器です。
まだ熟成が十分でないワインを、空気に触れさせて「開く」作業を行うためのもので、同じような使い方をするデキャンタとは区別されています。
ワインを注ぎやすいようにやや広がった口や長い首は同じですが、注いだあとにしっかり空気と触れさせるためにワインを回転させる作業(スワリング)をやりやすいよう、やや扁平に広がった形状のものが一般的です。
また、元の語源どおり単純な水差しの形をしているものや、注いだワインが内部で動く様子を楽しめる複雑な形状をしたものなどもあります。
デキャンタージュに比べて、キャラファージュはそれほど注意力を要する作業ではなく、厳密な再現性を求めるのでなければ誰でも気軽にチャレンジできます。
初心者のうちに、デキャンタとキャラフェのどちらを買うべきかで迷ったら、ひとまずはキャラフェのほうを買っておいたほうが使用する機会は多いはずです。

ホイルカッター

 ワインのボトルの口にかぶさっているホイルを省くためのカッターです。
コルク栓のワインの場合、出荷する際にコルクの破損や劣化を防ぐために金属ホイルをかぶせられます。
別に爪や文具用カッター、はさみなどで取り除いてもいいのですが、せっかくならワインを開けるその一番最初の作業から楽しみたいところ。
専用のカッターを押し当て、カッターを持つほうの手を動かしてぐるりと一周すれば、ホイルを簡単に取り除くことができますし、切り取ったあとボトル側に残る部分も綺麗です。
ソムリエナイフがあれば、コルク抜きと一緒に入っていることも多いはず。
カッターだけのものでも折りたたみ式ナイフ状のものが一般的ですが、日本の握りバサミのようにボトルの口元部分を挟み込んで使用するタイプのものもあります。
パーティなどで使用する場合は、このはさむタイプのもののほうが安全かもしれません。

ラベル剥がし

 ワインボトルについているラベル(エチケット)を剥がすための道具です。
どんなワインを飲んだかを記録したり、楽しかった食事の記念としてワインのラベルを他の情報と共に保管しておく人は少なくありませんが、使用されているのりの種類によっては簡単に剥がれてくれないラベルもあります。
ラベル剥がしは、「のりを溶かしてラベルが楽に剥がせるようにする薬品」「のりが残っている状態でもきれいに剥がすためのへら」「表面だけをきれいに剥がし取る粘着フィルム」などいろいろな種類があり、剥がしたいラベルがどんなものか、剥がしたあとどうやって保存するかなどに合わせて選択できます。
なかには、「ビニール製のラベルと溶剤タイプ」「熱で溶ける接着剤とへら」など、相性の悪い組み合わせも有るので注意が必要です。
近年ではスマートフォンのカメラで撮影した画像で、データとして記録を残すアプリなどが使用されるようにもなってきていますが、現物を剥がして取っておくアナログなやり方のほうを支持する人もまだまだ多く、しばらくはラベル剥がしが不要になることはなさそうです。

ワインストッパー

 一度開栓したワインを飲み残した際に使用する栓です。
基本的には、開栓したワインは酸化が進んでしまうので、飲み頃になったらすぐに飲みきってしまったほうがいいのですが、毎回必ず飲みきれるというものでもありません。
もとのコルクで再栓すると、スクリューが刺さったところから崩れてコルク片がワインに入ってしまうことも。
ワインストッパーは洗って何度も使える素材でできており、ボトルの口の微妙なサイズ差にも対応できるようなフレキシブルな形状になっているものが多いようです。
ただし、基本的にはホコリがはいったり冷蔵庫内でにおいが移ってしまったりするのを防ぐための簡易な栓なので、長期間の保存には向きません。
ワインストッパーを使用しても、数日以内には飲みきるようにしたほうが良いでしょう。

ワインセーバー

 一度開栓したワインから空気を抜いて再栓する道具です。
コルクを抜いたワインボトルには空気が入り、たとえしっかりした栓でふたをしても中に残った酸素によって酸化が進んでしまいます。
これを防ぐには、ふたをする前に中に入った酸素を抜く必要があります。
ワインセーバーは一般的に酸素を抜く機構と気密性の高い栓がセットになっており、手動のポンプで瓶内を真空に近づけたり、窒素などのガスを吹き込むことで酸素を追い出すようになっています。
すでに十分熟成が進んでいて酸化が好ましくないワインや、次に飲めるまでに時間があいてしまうときなどに、ワインストッパーやコルクで再栓するよりも有効な道具といえます。
ただし、もちろん完全に開封前の状態に戻せるわけではないので、ワインセーバーを使用してもできるだけ早めに飲みきってしまったほうが良いのに変わりはありません。

パニエ

 ワインの瓶を入れ、斜めの状態で保持するための道具です。
一般的にはかご状になっていますが、ワイヤーで骨組みだけをつくったようなシンプルなタイプのものもあります。
ワインボトルを寝かせた状態で抜栓したり、パニエごと持ち運べるようになっており、主に熟成の進んだ赤ワインなどの澱を、ボトルの動きを少なくして早く底に沈めたり浮き上がりにくくするために使用します。
デキャンタージュ前に澱が沈みきっていないワインを寝かせておくほか、澱の量があまり多くなく頻繁に注ぐわけではないような場合には、開栓後もそのままボトルを入れてテーブルに置かれることも。
可愛らしいデザインのものも多いため、パーティなどで開栓前のワインを見えるところに置いておきたい場合に飾り付けの一部として使用しても良いかもしれません。

エアレーター

 ワインを注ぐ際にできるだけ多くの空気と触れるようにする機構を持った道具です。
ポアラーとも呼ばれます。
ボトルに接続したりそれを通してワインを注ぐようにして使用し、ワインが通過する際の圧力変化で吸い込まれた空気がワインと混ざって出てくることで、普通に注ぐよりも多くの酸素と接触し、一気に酸化が進みます。
キャラフェがなくとも酸化による急速熟成を進めることができ、ボトルを振ったりグラスをしきりに回すよりもスマートで簡単です。
ただし、細かい調整ができるものではないので、繊細なタイプのワインや長期間熟成させてきたワインの最後の微調整などには向きません。
あくまで若いワインの酸化を簡易に進めるためのものと考えましょう。

ワインバッグ

 ワインを入れて持ち運ぶためのバッグです。
パーティへ持っていったりおみやげとして運ぶ際に、ボトルが破損したりラベルが傷ついてしまうのを防ぎます。
ボトルを直立させた状態で保持できるものが多く、デザインはもちろん、使用していないときは小さくたためたり保冷効果があったりといった機能性の良いものも多く販売されています。
また、コルク抜きやグラスなど、ワインを飲むための道具を一緒に一式入れられるタイプのものもあり、これひとつあればピクニックやキャンプなどで気軽にワインを楽しむこともできます。