パリソムリエ協会と国際ソムリエ協会

目次

 フランスには現在、二つの大きなソムリエ組織があります。
フランス国内のソムリエ資格を監督する「パリ・ソムリエ協会」と、各国のソムリエ協会の本部としての役割を担う「国際ソムリエ協会」です。

パリ・ソムリエ協会(Association des Sommeliers de Paris/ASP)

 パリ・ソムリエ協会は、世界に先駆けて作られた最古のソムリエ組織です。
その前身となる「パリ・ソムリエ組合(Union des Sommeliers de Paris)」が発足したのは1907年。
市場にはびこる「ワインモドキ」を排除する一連の運動が実を結び、ワインの原料や品質に関する最初の法律が制定された年でした。
ワインの品質を見極め、それを客へとサービスする資格として「シェフソムリエ」という呼称を作り認定試験を開始、1922年には実践的な専門知識を身につけるための講座を開設するなど、ソムリエの技術と地位の向上に努めました。
二度の世界大戦でいったんは衰退するものの、ワインを愛する人々の尽力の結果、1969年に「パリ・ソムリエ協会(Association des Sommeliers de Paris)」として再編され、現在に至っています。

 パリ・ソムリエ協会の活動目的は、フランス国内、および全世界におけるソムリエの地位向上とサポートです。
ソムリエ認定試験や講座の開催はもちろん、関連業界との連携、コンテストの開催とその対策講座や学校の運営、さらにはブドウ栽培やワイン醸造に関するアドバイスに至るまで、様々な業務を行っています。
フランスにおけるソムリエ資格は、日本のような呼称資格ではなく国家資格ですので、ソムリエ協会の地位や責任もより重大なものとなっています。

国際ソムリエ協会(ASSOCIATION DE LA SOMMELLERIE INTERNATIONALE/ASI)

 1969年にソムリエという職能の保護と発展を目的として、フランスのランスで発足した非営利団体です。
パリ・ソムリエ協会と同じように、ソムリエの技術と地位の向上、倫理遵守、消費者教育などを活動目的としています。
フランスやイタリアなどのヨーロッパ各国はもちろん、日本も含む世界各国のソムリエ資格管理組織が加盟しており、2017年現在55カ国が参加しています。
通常3年ごとに加盟国から会長を持ち回りで選出することになっており、2010年10月から2017年6月までの期間は二期に渡って、日本ソムリエ協会会長でもある田崎真也氏が会長を務めていました。
国際的なコンテストの開催やソムリエ同士の交流、テキストや講座などによる継続的な教育プログラムの提供などはもちろん、2012年からは「国際ソムリエ協会認定ソムリエ資格(International A.S.I. Sommelier Diploma)」試験も主催しており、各国のソムリエが国の枠を超えて活躍するための大きな助けとなっています。
現在は本部がパリに移っています。