ワインエキスパートとワインコーディネーター

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 2017年現在、ワイン関連の職業についていなくともソムリエ資格の取得は可能になっています。
しかし、「ソムリエと名乗るのは違和感がある」「職業制限のある方のソムリエ資格の取得を目指している」などの理由で、あえて違う名称の資格を取得するケースもあるようです。
ソムリエ資格を管理する団体が認定しているワイン関連資格は、「ワインエキスパート」と「ワインコーディネーター」で、どちらも内容的にはソムリエと同じレベルの試験・講義をパスする必要があります。

ワインエキスパート

 一般社団法人日本ソムリエ協会(JAPAN SOMMELIER ASSOCIATION/JSA)が認定している資格です。
20歳以上という年齢制限以外は受験についての条件がなく、職業に関わらず誰でも受けることができます。
ただ、試験内容は筆記、テイスティングについてはソムリエと同程度のものが出題されるため、資格取得のためには十分な知識と技術が要求されます。
(サービス実技と書類審査はありません)
1997年までの日本にはJSAの職業制限のあるソムリエ資格しか存在しなかったため、ワイン関連職についていない、もしくは勤続年数が足りないものの、ワインに関する知識や技術を持つ人の能力を証明するものとして利用されていました。
現在は全日本ソムリエ連盟(ANSA)の認定する職業制限のないソムリエ資格がありますが、知名度や認定団体の実績などからあえてJSAの認定資格を選ぶ人も少なくないようです。
上位資格として、年齢30歳以上でワインエキスパート資格を5年以上持っている人が挑戦できる「シニアワインエキスパート資格」もあります。
こちらは一次試験(筆記)、二次試験(テイスティング)のあとに、小論文による三次試験を受けなければならず、ワインに関する意見や思想も問われる内容となっています。

ワインコーディネーター

 全日本ソムリエ連盟(ALL NIPPON SOMMELIER ASSOCIATION/ANSA)が認定している資格です。
JSAの方は(共通する項目の内容はほぼ同じとはいえ)ソムリエ資格とそれ以外の認定試験が分けられていますが、こちらは完全に同じ内容の通信教育、もしくは講義を受けて、資格取得時にどちらかの名称を選ぶという方式になっています。
なんらかの理由で「ソムリエ」という名称を使用したくない、できない人や、あえて「コーディネーター」という単語を入れた肩書きにしたい人などが利用しているようです。
一定水準以上の能力があるかをチェックする試験方式ではなく、通信教育や講義で必要技能を取得し、終了時に確認のための添削やテストを受ける、大学の単位取得のような方式が特徴です。
興味を持ったものの知識などを得る場がない、という人でも受けることができ、その時点での最新の知識が技術を教わってソムリエになることができるというメリットがありますが、その分JSAよりも多額の費用が必要になります。
短期集中講義タイプの場合は数日で終了してしまうなど、あくまで「本番は資格取得後」という姿勢のようです。
ただ、カリキュラムの内容には一連の知識やテイスティングのほかに、抜栓やサービスなどソムリエの必須技術全般も含まれているため、実技試験がテイスティングだけのJSAワインエキスパート資格より広範囲をカバーしているとも言えます。
認定までにかかる期間や費用、どのように学ぶかなど、事情や都合に合わせてスタイルを選ぶことができる点もメリットといえるでしょう。