フォーティファイドワインを一番おいしく飲むには 温度、開栓時期、グラス選びの基本

 アルコール度数が高く糖分を多く含むものの多いフォーティファイドワインは、基本的には常温(16~20度程度)で飲むのが良いとされています。
冷やしすぎると甘味を感じにくくなり、酸化熟成によって得た複雑で繊細な香りも閉じてしまいます。
逆にタンニンなどに由来する渋味や酸味は低温のほうが強く感じられるため、ワイン全体の味わいのバランスが崩れてしまうのです。
ただ、熟成年数が短く華やかな香りのものや、アルコール発酵を比較的しっかりと進めてから蒸留アルコールを加える辛口タイプのものの中には、冷やして飲んだほうが良いものもあるので注意が必要です。

 フォーティファイドワインの多くはしっかりとした熟成を経てから出荷されているため、飲む直前の熟成度合調整が必要なものはほとんどありません。
事前に開栓しておいたりキャラファージュを行うことなく、開けてすぐにおいしく飲むことができます。
また、長期熟成タイプのポートワインやマディラワインのように、長い時間や苛酷な環境によって酸化が進みきっているタイプのものは、開栓後も変質や劣化が起こりにくく、慌てることなく何日もかけてゆっくりと楽しむことができます。
ただし、比較的短期間の熟成で出荷されるものなどの例外はもちろんあるので、事前に専門店で質問したりネットや本で調べるなどしておいたほうが無難でしょう。

 フォーティファイドワインはアルコール度数が他のワインに比べて高く、製法上糖度もかなり高いものが多いため、一度に大量に飲むようなものではありません。
そのため、一般的なワイングラスよりも小さめのグラスを使用したほうがいいでしょう。
ブランデーなどの香りを楽しむタイプの蒸留酒の場合は、グラスを手の熱で温めて香りを立たせるような飲み方をする場合もありますが、フォーティファイドワインで同じことをすると香りや味わいのバランスが崩れてしまいます。
特に甘味は温度が上がると感じやすくなるため、人肌にまで温めるとべったりとした不快な甘さに感じかねません。
そのためフォーティファイドワインには、飲んでいる間に温度が上がりづらい脚つきのグラスが適しています。
具体的には、スペインのフォーティファイドワインであるシェリーを飲むための「シェリーグラス」や、小ぶりの「テイスティンググラス」、蒸留酒やリキュールを楽しむための「コーディアルグラス」などがおすすめです。