赤ワインの醸造法 赤ワインとはその4
種や果皮から色とタンニンを移す 赤ワインの発酵
赤ワインの製造法の最も大きな特徴は、種や皮と果汁をしばらく一緒にしておくことで、色やタンニンなどをうつすことです。
収穫されたブドウは、実に残った枝の一部を取り除く「除梗」と呼ばれる行程のあと、果汁が出るようにカットされたり粉砕されたりします。
そして、その流れ出た果汁と実、皮、種などを合わせた状態で、1~2週間程度発酵させるのです。
(マセラシオン)
また、そのままただ放っておくと、固形物が液面に浮かび上がってきて液体部分と分離した状態で固まってしまうので、定期的にかき混ぜたり(ピジャージュ)、下からくみ上げた液体部分を上から注ぐことで固形物が液内に戻るようにします(ルモンタージュ)。
こうすることで、種や皮に含まれる色素やタンニンが果汁の方へ移り、赤ワインのあの独特の渋みやコクが生まれます。
ちなみに、伝統的な方法ではブドウに付着した天然の酵母の働きで発酵させていましたが、現在は品質を安定させ腐造を防ぐ目的から、別途培養した酵母を添加することがほとんどだそうです。
じっくりと味わいを深める 赤ワインの熟成
発酵が終了したあとようやく固形物と分離されたワインは、樽やステンレスタンクで数週間~数年間熟成されます。
樽に入れられたワインには、樽に使用されている木材からもタンニンなどが溶け出し、さらに深みを増していきます。
また、この期間の間にブドウ由来のリンゴ酸が乳酸菌の働きによって乳酸へと変わり(マロラクティック発酵)、とげとげしさが取り除かれたまろやかな酸味をまとうようになります。
必要に応じてブレンドと清澄を行う 赤ワインの完成
その後、滓引きや酸化防止剤(二酸化硫黄など)の添加やブレンド(アサンブラージュ)を必要に応じて施したあと、最後の重要な工程である清澄(コラージュ)へと進みます。
これは、滓引きで沈みきらない微細な浮遊物を取り除くための工程で、吸着剤を投入して浮遊物を吸着させてからろ過することで除去します。
赤ワインでは、主に卵白やゼラチンなどの動物性たんぱく質が使用されます。
(近年では「不純物がないほど価値が高い」という価値観が揺らいできていて、コラージュやろ過を行っていないことをセールスポイントとしているワインもあるようです)
こうして完成したワインは瓶詰めされ、長期熟成を前提とした高級なワインは長く、機密性の高いコルクで、熟成に向かない早飲み用のワインは短いコルクやスクリューキャップ、樹脂製の代用コルクなどで打栓され、出荷、もしくは熟成用のワインセラーへと送られるのです。