ロンバルディア州 北イタリア1

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ロンバルディア州(Lombardia)とは

 ロンバルディア州は、イタリア北部の本土上の州の中央に位置します。
ピエモンテ州(Piemonte)、トレンティーノ・アルト・アディジェ州(Trentino Alto Adige)、ヴェネト州(Veneto)、エミリア・ロマーニャ州(Emilia Romagna)と州境を接し、北部でアルプス山脈を挟んでスイスと国境を接しています。
イタリアの重要な都市のひとつであるミラノを有し、人口は20州内で第1位。
比較的裕福な州の多い北部でも、特に経済的に発展している州のひとつとなっています。

ロンバルディア州の歴史

 「ロンバルディア」という州名の語源は、ローマ帝国滅亡後にこの地域を支配していた「ランゴバルド王国」に由来します。
ワイン造り自体は11世紀頃からキリスト教の修道士によって行われていましたが、北イタリアが様々な勢力に代わるがわる支配された12世紀頃までは、ミラノの南西に位置するパヴィアが中心的な都市として機能していたことから、戦争のたびに大きな被害をこうむる地域でもありました。
しかし、12世紀から13世紀にかけて有力なコムーネ(commne)が台頭してくると、北イタリアでも有数の権力を有した都市国家に成長。
14世紀末に成立したミラノ公国は、東のヴェネツィア共和国に並ぶ大国となります。
ちょうど同時期に北イタリア各地でブドウ栽培が拡大していたこともあり、ロンバルディア州に当たる地域でも生産量と品質が共に上昇しました。
16世紀からは再びフランス、スペイン、オーストリアといった海外の各勢力によって支配される期間が続きます。
政治的な中心として、また中世から続く絹の生産から工業都市として発展していったことから、ワイン文化については停滞してしまいますが、生産が行われなくなることはありませんでした。
1861年に統一イタリア王国が成立したあとは、他の産地と同じように大量生産的なワイン造りが行われましたが、第二次世界大戦後にはいち早く方向を転換。
1963年にDOC法が成立すると、もっとも早い時期から認定を受けるワインが現れはじめた地域となりました。
現在では生産量や知名度は他の州に比べやや控えめですが、高品質なワインの産地として知る人ぞ知る州となっています。

ロンバルディア州のテロワール

 ロンバルディア州は北部にアルプス山脈を有していることもあり、地形の半分以上が山地、もしくは丘陵地帯となっています。
イタリアでは珍しく海岸線を持たない州のひとつで、夏冬の寒暖差の激しい大陸性気候の範囲に属します。
標高の高い地域では昼夜の寒暖差や水はけの良さ、標高の低い平野部では少ない降水量がブドウの栽培を助けてくれます。
土壌は、主に氷河によって形成された砂礫質中心の痩せた大地になっており、ブドウの樹がしっかりと根を伸ばして複雑な味わいを作り出せる地質です。
山岳地では主に赤ワイン、平野部では白ワインが造られており、その比率は土地の割合と同じく赤ワインがやや多いもののほぼ半々となっています。

ロンバルディア州のワイン造り

 ロンバルディア州を代表するワインと言えば、東部の丘陵地帯で造られるスパークリングワイン、「フランチャコルタ(Franciacorta)」が挙げられるでしょう。
瓶内二次発酵を行うシャンパーニュ(トラディッショナル)方式で造られるこのワインは、生産が始まったのは第二次世界大戦後ですが、1967年という非常に早い段階でDOC認定を受けた、短期間で急成長したスパークリングワインとして知られています。
シャルドネ、ピノ・ネロ、ピノ・ブランを使用し、ティラージュなどシャンパンと同じ製法で造られますが、シャンパーニュ地方比べて温暖な地域でブドウの完熟度合を高めることができるため、追加する糖の量がかなり控えめにできるのが大きな特徴です。
そのためシャンパンよりも口当たりが軽く、より食中酒に適した酒質になるとされています。
生産量がシャンパンよりもかなり少なく、ほとんどがイタリア国内で消費されてしまうため知名度はいまいちですが、和食にも合わせやすいため輸出先としては日本が最も多くなっています。
シャンパンに比べると価格も控えめなので、手に取りやすいワインであるといえるでしょう。