シャブリ・グラン・オーセロワ地区 ブルゴーニュの産地と等級付き畑1
シャブリ地区
シャブリ地区はブルゴーニュ地方の最北端、セロン川の左右岸に広がるワインの産地です。
ここは1億5千万年前には海だった場所で、「キンメリジャン」と呼ばれる石灰質の土壌が広がっているのが大きな特徴です。
冷涼な気候と石灰土壌によって育ったシャルドネを原料とし、キレの良いミネラル豊富な白ワインが生み出されています。
シャブリ地区の畑は、上から「シャブリ・グラン・クリュ(Chablis Grand Cru)」「シャブリ・プルミエ・クリュ(Chablis Premier Cru)」「シャブリ(Chablis)」「プティ・シャブリ(Petit Chablis)」の四つのランクに分類されています。
この分類が適用されるようになったのは1978年からですが、この背景にはフィロキセラ災害と戦争で産地が荒廃し、1955年にはブドウが栽培されている面積が約550haにまで縮小してしまったことがあげられます。
歴史あるシャブリのワイン造りを復活させるために、より分かりやすい分類を採用したといわれています。
その甲斐あってか、現在ではシャブリ地区全体の栽培面積は約5400haにまで回復しました。
こうした経緯から、村名AOCはあるものの、グラン・クリュ、プルミエ・クリュ共に個別のAOCを持たない珍しい地区となっています。
シャブリ地区のグラン・クリュ
シャブリ地区のグラン・クリュは、セロン川の右岸、地区の中央付近にひとかたまりになっています。
これらはまとめてひとつの「シャブリ・グラン・クリュ(Chablis Grand Cru)」というAOCを持つという、ブルゴーニュの特級畑のなかでは珍しい特徴を持っています。
グラン・クリュは全部で7つで、南東から北西に向かって順に、
- ブランショ(Blanchot)
- レ・クロ(Les Clos)
- ヴァルミール(Valmur)
- グルヌイユ(Grenouilles)
- ヴォーデジール(Vaudésir)
- レ・プレリューズ(Les Preuses)
- ブーグロ(Bougros)
となっています。
グルヌイユがグラン・クリュの中では最小の面積(9.4ha)、レ・クロが最大の面積(25.9ha)、7つ合わせて、シャブリ地区全体の2%ほどを占めます。
シャブリ地区のプルミエ・クリュ
シャブリ地区のプルミエ・クリュは、シャブリ地区全体に細かく点在しています。
その数、なんと70以上!
さすがにそれをそのまま使用すると複雑になりすぎますし、一時は産地の9割がワイン造りを行っていなかったこともあり、特に代表的な17の一級畑を設定し、その畑が所属するコミューンやその近辺の一級畑もその代表的な畑の名を使用することが許可されています。
代表的なプルミエ・クリュは、
- モンテ・ド・トネール(Montée de Tonnerre)
- モン・ド・ミリュー(Mont de Milieu)
- フルショーム(Fourchaume)
- ヴァイヨン(Vaillons)
- モンマン(Montmains)
- コート・ド・レシェ(Côte de Léchet)
- ボーロワ(Beauroy)
- ヴォークーパン(Vaucoupin)
- ヴォグロ(Vosgros)
- ヴォー・ド・ヴェイ(Vau de Vey)
- ヴォー・リニョー(Vau Ligneau)
- ボールガール(Les Beauregards)
- レ・フルノー(Les Fourneaux)
- ベルディオ(Berdiot)
- コート・ド・ヴォーバルーズ(Cote de Vaubarousse)
- コート・ド・ジュアン(Cote de Jouan)
- ショーム・ド・タルヴァ(Chaume de Talvat)
です。
(ただし、細部の異なる諸説あり)
近年ではこのシステムを使わず、実際にブドウを栽培していた畑の名を使用するケースも少なくないとのことで、全てが当てはまるわけではないようです。
グラン・オーセロワ地区
グラン・オーセロワ地区はシャブリ地区の南西、ヨンヌ川の左右岸に位置しています。
シャブリと同じくブルゴーニュでのワイン造りが活発になり始めた頃からの非常に古い歴史を持つ産地で、小さな畑が中心となっています。
シャブリに比べると目立たない印象の比較的地味な地域ですが、伝統的な黒ブドウであるセザール(César)とピノ・ノワールから造られる赤ワインが有名な「イランシー(Irancy)」、この付近ではかなり珍しくソーヴィニヨン・ブランを使用した白ワインで知られる「サン・ブリ(Saint-Bris)」など、特徴的な村名・地区名アペラシオンがあります。