リグーリア州 北イタリア6

 リグーリア州(Liguria)はイタリアの北西、地中海(リグリア海)沿いの細い三日月状の州です。
ピエモンテ州(Piemonte)、エミリア・ロマーニャ州(Emilia Romagna)、トスカーナ州(Toscana)と州境を、フランスと国境を接し、地中海に面しています。
古くはヴェネツィアと覇権を争ったイタリア随一の港町で、現在は風光明媚な観光地として有名です。
渓谷と丘陵地帯で形成された土地を持ち、平地がほぼありません。
栽培されているブドウの品種は多様ですが、生産量はイタリア全体の中でも非常に少ないほうで、ほとんどが地元で消費されてしまうため海外ではほとんど出回っていません。

 現在リグーリア州のある地域は地中海における海運の要所で、ローマ時代から港町として発展した土地でした。
その分、ブドウの栽培やワイン生産に関しては隣接するピエモンテやトスカーナなどには及ばなかったようで、この地域のワインが注目されるようになるのはジェノヴァ共和国が海洋交易と金融で権力を得る12世紀頃からです。
11世紀に成立したジェノヴァ共和国は各地に植民地を広げて海上の権力を広げていき、多くの航路の利益を独占することで強大化していきました。
複数の有力貴族が台頭し、13世紀までには他の地域と同じようにワイン文化が広まったことで、権力の象徴としてのブドウ畑がそこここに拓かれます。
14世紀には著名な抒情詩にも登場するほど名の知られたワインも生まれましたが、他の産業へ注力するためか単に地理的な問題か、その数はさほど多くはなりませんでした。
ジェノヴァ共和国の力が衰え、サルディーニャ王国、そしてイタリア王国に併合されたあとも、ワインの生産量は少ないまま現在に至るまで知名度はあまり向上していません。
ただ、近年の嗜好の多様化に伴って価値が見直され、稀少さとあいまって注目集めつつあるワインもあるようです。

 リグーリア州はほぼ全体が地中海に面している細長い形状をしており、隣接するフランス南西部と同じように冬でも温暖な地中海性気候を持っています。
全体に広がる渓谷の斜面を利用したブドウ栽培が行われていますが、その生産量はあまり多くはありません。
白ワインが7割近くを占め、DOCG認定を受けていたワインはなし。
ただ、量産をしない分優良なワインもいくつか存在します。
チンクエ・テッレ・シャツケトラ(Cinque Terre Sciaccheta)と呼ばれる、半乾燥させたブドウを使用した高アルコールの甘口ワインが有名です。