ポート 酒精強化のスタンダード 熟成方法と飲み頃その7

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 ポートワインは、ポルトガルのポルト市で作られるフォーティファイドワインです。
ブドウ果汁が発行している途中でアルコール度数77度のブランデーを加えて、アルコール発酵を糖分が残っているうちに止めるという、基本的なフォーティファイドワインの製法で作られます。
オーソドックスな手法であるため同様の造り方をするフォーティファイドワインはあちこちにありますが、ポルト市内のドウロ川上流(アルト・ドウロ地区)で栽培された葡萄を原料とし、市内で熟成を経たものだけがポートワインを名乗ることができます。

樽での熟成期間

 ポートワインにとって、樽熟成の期間や瓶に移すタイミングは、ブドウの産地や品種と同じくらい重要なポイントで、タイプごとに厳しい規定があります。
例えば、ルビータイプに分類される「ヴィンテージポート」では、「ブドウの収穫から数えて最短でも2年目の7月までは樽熟成を行い、3年目の6月までに濾過を行わずに瓶に詰める」、「レイト・ボトルト・ヴィンテージ・ポート(LBV)」では「ブドウの収穫から数えて最短でも4年目の7月までは樽熟成を行い、6年目の年末までに瓶に詰める」と、非常に細かく熟成期間が定められています。
また、樽熟成期間の長いトウニータイプの場合、単一収穫年のブドウを使用する「コリエイタ」では最低7年以上の熟成を求められます。
複数の収穫年の原酒をブレンドする「熟成年数表記トウニーポート」の場合はそれよりも若いワインを使用することもありますが、ブレンド後の平均年数は10年からとなっています。
当然、樽熟成期間の違いがそれぞれのタイプの特徴を形作る大きなポイントとなっているため、ポートワインはタイプごとの違いが他のワイン以上に際立っているワインであるといえます。

流通後の熟成

 ポートワインも他のフォーティファイドワインと同じように、その高いアルコール度数やしっかりと残っている糖分によって、スティルワインやスパークリングワインに比べて酸化しにくく、長期間の熟成が可能なタイプのワインです。
特に樽での熟成期間が50年を超えるものもある「トウニータイプ」の場合、樽熟成中の酸化によって状態が安定していることや、樽由来のポリフェノールなどによってさらに劣化が起こりにくくなっており、高品質なものであれば100年を超える熟成にも十分に耐えることが可能です。
理想的な環境でゆっくりと熟成させたポートワインは、独特の芳醇な香りと複雑なコクを持つようになり、高品質な蒸留酒のように単独で食後酒として楽しめるほどといわれています。
ただし、ルビータイプやホワイトタイプは樽熟成期間があまり長くなく、開放型の樽で酸素と触れながら熟成するシェリーや、超高温環境を経験するマディラなど他のフォーティファイドワインに比べると、開栓後はあまり長くは置いておけません。
トウニータイプ以外は、開栓後数日以内に飲み切ったほうが良いでしょう。