南アフリカのワインに関する歴史
大航海時代に興隆した名醸地 ワイン造りの始まりと発展
南アフリカでのワイン造りは、1659年、オランダの東インド会社によって始まりました。
喜望峰回りの航路を取る際の中継基地となったケープタウン周辺には、17世紀末までに数万本のブドウの木が植えられ、宗教的な対立によってフランスから逃れてきた技術の入植もあり、名醸地として急速に発展します。
18世紀にはイギリスの植民地となり、ナポレオン戦争の影響でフランスのワインが出回らなくなった結果、ケープ地方のワインはヨーロッパの貴族たちの間で広く親しまれるようになりました。
ミュスカ・ド・フロンティニャンを遅摘みして造る甘口ワイン「コンスタンシア」は、亡命したナポレオンのお気に入りだったと伝えられています。
一度は消えかけた美酒 衰退と再興
しかし、イギリスとフランスの国交回復や、世界各地で猛威を振るった害虫フィロキセラによる被害、国内外で度重なる戦争などにより、ワイン産業は次第に衰退していきます。
1918年に南アフリカワイン醸造者共同組合連合(Koöperatieve Wijnbouwers Vereniging van Zuid-Afrika Bpkt/KWV)が品質向上と生産統制のために創立されたり、1973年に原産地呼称制度(Wine of Origin/W.O.)を整備するなど、産業を守るための様々な努力がなされましたが、根本的な解決は1991年のアパルトヘイト撤廃まで待たねばなりませんでした。
経済制裁などの影響からようやく開放された南アフリカのワインは、KWVの民営化などもあり、現在急速な発展と国際化を進めています。