カラブリア州 南イタリア6
カラブリア州はイタリア半島の南端、ブーツ型の半島のつま先に当たる部分に位置する州です。
バジリカータ州(Basilicata)と州境を接し、ティレニア海とイオニア海に面するほか、シチリア島に接近しています。
古代ギリシャ時代には「エノトリア(ブドウ、ワインの土地)」と呼ばれたほどワイン造りが盛んだった地域ですが、ブドウの栽培可能面積自体がかなり狭かったためローマ帝国崩壊以降はさほど省みられることなく、ワイン文化も発展しませんでした。
現在では、生産量もDOPワインの割合も下位に甘んじており、DOCG級のワインもありません。
ただしそれだけに、いまでも造り続けられているワインは平凡ではなく、古代ギリシャの気配を色濃く残す個性的なものになっています。
近年の醸造技術や設備の近代化によって品質も向上してきており、より個性的なワインが求められる現代の風潮もあって注目度が年々増してきているようです。
生産量の少なさから日本ではあまり見かけることのないものばかりですが、あえて探してでも試してみる価値はあるかもしれません。
平地が非常に少なく面積全体の10%程度で、残りは山岳地と丘陵地が半分ずつ。
農業に適さない荒れた土地が多いため、古代の名声に反してワインの生産量はわずかです。
地中海性の温暖な気候帯に属しますが、南西から吹く乾いた風の影響で全体的に乾燥気味で、これがブドウの栽培を阻む要因のひとつとなっています。
しかし、近年のブドウ栽培、醸造技術の向上により克服されつつあり、少しずつですが生産量も伸びてきているとされています。
カラブリア州を代表するDOPワインとして知られる「チロ(Ciro)」をはじめ、主要なワインで使用されるブドウ品種のガリオッポは、ギリシャ人によって栽培が始まったブドウとされており、古代ギリシャではオリンピックの勝者に与えられるワインの原料として使用されていたと言われています。