ヴェネトのワイン造り 特徴、製法など

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陰干しブドウのワイン、「レチョート(Recioto)」「アマローネ(Amarone)」

 ヴェネト州にも多種多様な個性的なワインがありますが、特に他の州と異なる特徴として、陰干しブドウを使用したワイン、「レチョート(Recioto)」と「アマローネ(Amarone)」の存在があげられるしょう。
収穫前に樹上で乾燥させるものや貴腐ワイン、アイスワインなどとは異なり、収穫後にすのこの上などで乾燥させ、果汁を濃縮して使用します。
製法としてはフランスの「ヴァン・ド・パイユ(Vin de Paille)」に近いのですが、発酵期間はそれよりも短くなっています。
もともとは、ギリシャから輸入してヨーロッパ諸国へ流通していた甘口ワインが好評だったため、近い特徴のものを造ろうと工夫したことが始まりと考えられていますが、現在では辛口~半甘口の銘柄も少なくありません。
辛口のもっとも有名なものに「アマローネ」があり、2年以上の熟成を経て完成されるその濃厚な味わいは、イタリア北部を代表する高級ワインのひとつとして知られています。
甘口の「レチョート」も作られ続けていますが、こちらは現在ではどちらかというと庶民がクリスマスなどのお祭りごとの際に飲むワインとして流通しているようです。

ブドウの再利用 ヴァルポリチェッラ・リパッソ(Valpolicella Ripasso)とグラッパ(grappa)

 中世の大商業都市として知られたヴェネツィアを擁するヴェネト州近辺では、国内外に向けた商取引が盛んに行われ、したたかで抜け目のない商人達が日夜しのぎを削っていました。
そうした理由から・・・かどうかは分かりませんが、通常は廃棄するだけのブドウの搾りかすを利用したお酒も、ヴェネト州を特徴づけるものとして知られています。
そのうちのひとつは、「リパッソ(ripasso)」。
これは搾った後のブドウのかすに新しいワインや発酵途中の果汁を注ぎいれて二重発酵させたもので、主にアマローネの搾りかすに対して行われます。
乾燥し濃縮した果汁を発酵させるアマローネは、搾った後も多くの成分が固形部分のほうに残っており、これが新しいワインに移ることでアマローネに近い香りやタンニンなどを獲得することができるのです。
もちろん味や香りは本物のアマローネには遠く及びませんが、価格が半分程度で済むこともあり、気軽に楽しめるワインとして重宝されています。
もうひとつは、ワインではなく蒸留酒の「グラッパ(grappa)」です。
ブドウの搾りかすを蒸留して造るお酒で、ワインそのものを蒸留する「ブランデー(brandy)」や長期間の樽熟成を経る「マール(marc)」などに近い特性を持ちますが、基本的に短期間熟成させてすぐに出荷されるのが大きな特徴。
ブランデーやマールがどちらかというと高級酒に属するのに対して、グラッパは廃物をリサイクルした一般庶民のためのお酒という性質が強いようです。
熟成期間が短いため水色は透明に近く、ぴりっとしたアルコールを強く感じます。
それでも飲みづらくならないように、蒸留の度合を調整してブドウの香りをしっかり残すのがポイントとのこと。
現在ではイタリア中で造られているグラッパですが、ヴェネツィア北部のバッサーノ・デル・グラッパ(Bassano del Grappa)というコムーネ(comune)のものが特に有名で、ここにはグラッパ博物館もあります。

イタリアを代表する白ワインの産地

 ヴェネト州では白ワインの比率が高く、全体の70%近くを占めています。
そのなかでも、特に海外で有名なものとして「ソアーヴェ(Soave)」があります。
州都ヴェローナ(Verona)とヴェネツィア(Venezia)の間、13のコムーネで造られる白ワインで、世界大戦後の「量より質」への転換期にいち早くアメリカなどへ輸出されその名が知られるようになりました。
ガルガネーガという品種のブドウをメインに使用し、基本的にはコクありの辛口。
ただし、ブドウを陰干しにして甘口に仕上げるレチョートもあります。
生産量も多く、DOPごとの生産量ではイタリア国内でも3~4位にはいるため、日本でもよく知られた銘柄となっています。