フランスの主要なブドウ品種 白ワイン用ブドウその1
ミュスカデ(Muscadet)(ムロン・ド・ブルゴーニュ(Melon de Bourgogne))
ムロン・ド・ブルゴーニュという別名からもわかるように、ブルゴーニュ地方原産の白ワイン用ブドウ品種です。
ただし、現在はブルゴーニュでは栽培されておらず、主にロワール地方のペイナンテ地区で栽培されています。
マスクメロンに似た香りを持っていることが元の名前の由来で、さっぱりとした味わいと強い酸味が特徴です。
魚料理、特に生の魚介類に合うとされ、寿司など和食との相性も悪くないとのこと。
酸化を防止し香味を深めるために、滓引きをせずに熟成させる手法(シュール・リー)が用いられることが多くなっています。
AOCワインの中ではかなり安価な部類に入り、高くても2000円前後というコストパフォーマンスのよさもうれしい特徴のひとつといえるでしょう。
シュナン・ブラン(Chenin Blanc)
ロワール地方原産の白ワイン用ブドウ品種です。
遅熟で酸が強く、シャルドネやピノ・ノワールのように栽培地の環境によって特徴を変える性質があります。
寒冷地で栽培されると、ただ単にすっぱいだけのものになりがちで、単独でスティルワインに使用されるよりも、ブレンドかスパークリングワインの原料として使用されるほうが多くなっています。
また、天候に恵まれた年は完熟後も樹上に摘み残し、貴腐ワインの原料としても使用されることがあります。
温暖な地域では酸も落ち着き、南国フルーツ系の甘い香りや、蜂蜜、ナッツなどに例えられるバランスのよいコクが加わってきます。
現在はオーストラリアやアメリカ、中国などでも栽培されており、栽培地域は拡大傾向にあります。
ピノ・グリ(Pinot Gris)
ピノ・ノワールの突然変異として生まれた白ワイン用ブドウ品種。
イタリアではピノ・グリージョ、フランスではピノ・グリと呼ばれ、どちらも果皮が灰色がかったピンク色をしていることに由来します。
(グリージョ、グリ、はどちらも「灰色の」という意味)
イタリアで育つと、爽やかで酸味とほろ苦さが特徴のソフトな味わいになりますが、フランスではボディのしっかりした複雑な味わいを持つ仕上がりになります。
特にアルザス地方では、遅摘みのピノ・グリから造られるワインを「トケイ(トカイ)」と呼びます。
これは、味わいの複雑さや深さをハンガリーのトカイ地方で造られる貴腐ワインに例えたものと思われます。
遅摘みながら辛口に仕上げられたトケイは、長期熟成にも耐えうる高級白ワインとして有名です。