デキャンタージュとはなにか 定義と行う理由
デキャンタージュとは、ワインボトルの底に沈んだ澱を省くためにデキャンタと呼ばれる専用の容器にワインを移すことです。
赤ワインに施すことがほとんどですが、白ワインでもコクありの長期熟成を経たものは澱がたまっているためデキャンタージュが必要な場合があります。
タンニンを多く含むワインや長期間瓶内熟成を続けたワインは、活動を終えた酵母や重合を重ねたタンニンが結晶化し、澱となって瓶の底に沈んでいます。
この澱は摂取しても健康的には問題ないのですが、ざらざらとして舌の上に残り、ワインを楽しむ邪魔になってしまいます。
先に沈殿させておけば良いと思うかもしれませんが、澱はワインのちょっとした動きですぐに液内に舞い上がり、再沈殿には何時間も待たねばならないため、開栓後すぐに分離する必要があるのです。
また、広義では未熟なワインを空気に触れさせて急速に熟成を進める、いわゆる「キャラファージュ」のこともデキャンタージュと呼ばれることがあります。
これは俗に「固い」ワインを「開く」と表現され、ボトル内の熟成度合いが開栓するまでわからないワインにとっては非常に重要な操作になります。
ただし、デキャンタージュが必要なほど長い期間瓶内熟成を進めたワインは、すでに熟成のピークを過ぎているものも少なくなく、外気に触れた瞬間からバランスを崩していってしまう可能性もあります。
澱の分離はもちろん、過剰に空気に触れないように速やかにデキャンタへとワインを移す必要もあるデキャンタージュは、非常に神経を使う作業といえるでしょう。