誰かにワインを贈るときに気をつけたいマナー

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 ワインは、そのおいしさや社会的、文化的な価値から、贈り物に適した飲み物です。
実際、ちょっとしたお祝いから人生の節目となるような大イベントまで、ワインが贈り物として選ばれる場面は少なくありません。
しかし、だからといって誰にでも、どんなワインを贈っても良いわけではありません。
ワインをプレゼントにする際に気を付けるべきマナーをチェックしてみましょう。

相手がお酒を飲めるかチェック

 当然ながら、お酒はだれもがおいしく飲める飲み物というわけではありません。
年齢的な問題はもちろん、アルコール全般がダメな方も少なくありません。
日本人の約45%はアルコール分解酵素の働きが弱く一般的な人の1/16しか分解能力がない「低活性型」、さらに全体の4%はまったく作用しない「不活性型」だといわれています。
こうした人にとっては、アルコールは毒のようなもの。
いくらおいしいワインであっても、楽しんでもらうことはほぼ不可能です。
また、体質的には問題なくても嗜好としてワインの味がダメ、という人もいます。
ワイン好きには想像しにくいことかもしれませんが、「アルコールの匂いが一定以上強いと無条件でダメ」「他のお酒はいけるけどワインだけは嫌い」というケースは意外とよくあるようです。
時間をかけて選んだ高級な赤ワインがシチュー用の料理酒に、なんて悲劇を起こさないためにも、相手がワインを飲めるかどうかは最初にチェックしておきましょう。

相手の好みに合わせて選ぶ

 アルコール飲料、そしてワインそのものが好きであることが判明したら、次はできるだけ詳細な好みについて確認しましょう。
日本において「ビールが好き」といった場合には、ほぼ冷やして飲むタイプの辛口ラガービールで間違いありませんが(それでも人によって好みが分かれるものですが)、「ワインが好き」というだけでは情報がまったく足りません。
ワインは赤、白、甘口、辛口、軽め、濃厚といった大きなポイントはもちろん、香りの傾向や酸味の種類などによって千差万別に風味の変わる飲み物です。
自分にとっておいしいワインが、相手にとっても同じであるとは限らないのです。
また、ワインについてこだわりのある人の中には、国や地域、格付けなどを限定して「これ以外は飲まない」という思想を持っている方も少なくありません。
その姿勢の是非はともかくとして、贈り物として選ぶのであればできるだけ相手の好みや考えに歩みよるのがマナーといえるでしょう。
別の選択肢を提示するのは、お互いに親しくなって相手の意見を尊重しあえる中になってからでも遅くはないのです。

相手の状況にあったワインを選ぶ

 ワインに限ったことではありませんが、贈り物を選ぶ際には相手の状況を考慮しなければなりません。
例えば、相手の好みにぴったりのワインでも、肝臓の数値が悪化していて飲酒量や回数を減らしている人に大量に贈れば、皮肉か嫌がらせとしか受け取ってもらえないでしょう。
糖分を控えている人に果汁濃縮系の極甘口ワインは楽しめませんし、最近よくない出来事があった人へ贈るのに祝い事用にデザインされたシャンパンはふさわしくありません。
相手との関係によっては多少違ってくるかもしれませんが、基本的に状況にふさわしいものを選ぶのがマナーです。

 もしも「プレゼントを選ぶだけなのに、ここまで手間をかけたくない」と思うなら、まず贈り物をする前の関係性の醸成が不十分であるといえるでしょう。
贈り物とは単なる物品の授受ではなく、そこにこもる気遣いやメッセージのやり取りです。
大切な人に手紙を書く際に単語や文をじっくり練るように、相手の体質や好み、状況までしっかり把握した上で選んだワインは、客観的な価値や味以上に心に感動を与えてくれるはずです。