日本の主要な黒ブドウ品種 赤ワイン用ブドウその6

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マスカット・ベーリーA

 新潟県原産の、日本で初めて人工的に作られた赤ワイン用ブドウ品種です。
「日本のワインブドウの父」と呼ばれる川上善兵衛氏によって、10000本以上の試験栽培・試験醸造の末に開発、分離されました。
アメリカ系生食用品種のベーリー種を母に、ヨーロッパ系のワイン用にも生食用にもなるマスカット・ハンブルク種を父に持ち、マスカット・ベーリーA自体も生食にも適しています。
萌芽が遅く早熟であるため、春の霜害や晩夏の台風を避けることができ、耐湿性、耐熱性に優れ菌類にも強いという、日本の環境に適合した特徴を持ちます。
渋みやタンニンは控えめで、豊かな果実味とパイナップルやイチゴに近い香り、切れのよい酸味を生かした軽めの早飲みワインになります。
糖度が高くなるため甘口ワインに仕上げるケースがほとんどでしたが、近年ではすっきりした辛口のものも増えてきています。
また、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローとのブレンドも行われています。

山ブドウ

 日本に古くから自生する、固有のブドウ品種です。
酸味が強く生食に向かない上、一般的なブドウと違って自家受粉できない(果実をつける雌樹と花粉を作る雄樹がある)ため栽培に手間と場所がとられるため、あまり積極的には活用されてきませんでした。
しかし近年、岩手県や北海道などを中心にワイン用として利用する生産者が現れはじめ、農場での栽培も行われるようになってきています。
また、カベルネ・ソーヴィニヨンと掛け合わせた「ヤマ・ソーヴィニヨン」が開発されるなど、新種研究も行われています。
果房に果粒がまばらにつく独特の形状をしており、酸味が強いのが特徴。
ポリフェノールを非常に多く含有していることもわかっています。
基本的には赤ワイン用ですが、ピノ・ノワールと交配させることで(なぜか)誕生した「ヤマ・ブラン」など白ワイン用品種も存在します。